365日 あの頃ヒット曲ランキング 10月

【1975年10月】「いちご白書」をもう一度/解散覚悟のバンバン ユーミンに依頼

[ 2011年10月15日 06:00 ]

 ★75年10月ランキング★
1 時の過ぎゆくままに/沢田研二
2 「いちご白書」をもう一度/バンバン
3 ロマンス/岩崎宏美
4 想い出まくら/小坂恭子
5 ささやかな欲望/山口百恵
6 裏切りの街角/甲斐バンド
7 北へ帰ろう/徳久広司
8 面影/しまざき由理
9 中の島ブルース/内山田洋とクールファイブ
10 お前に惚れた/萩原健一
注目夢よもういちど/真木
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【「いちご白書」をもう一度/バンバン】

 これを最後にしよう。結成5年目、関西を中心に活動していた売れないフォークグループ「バンバン」のばんばひろふみは、東京に進出してこの人に曲を書いてもらって、それを思い出に解散する決意を固めていた。ばんばの“意中の人”とは、新進気鋭の歌手荒井由実。ユーミンこと後の松任谷由実。つてを頼って、作詞作曲の以来をしたのは、75年の年明けの頃だった。

 ユーミンが題材にしたのは学生時代。過去に交際していた男性と交わした言葉や一緒に鑑賞した映画「いちご白書」のことを思い出して詞を書き上げた。ばんばにとっても、今までの活動を総括する上で自分たちの今の状況に近いものを感じていた。

 発売は8月1日。ラジオで流れた曲がリクエストを呼び、それが有線放送に飛び火した。最終的にレコード売り上げが伸びたのは秋。発売から2カ月が過ぎていた。

 「いちご白書…」でグループの寿命は延びたが、これが足かせにもなった。続く同じユーミンが手掛けた「霧雨の朝突然に…」は5万枚、さだまさしが書いた「縁切寺」は9万枚と、「いちご白書…」ほどの大ヒットには結びつかず、ヒットを出さなければという重圧に耐えかね、2年後に解散。ばんばはソロになって歌い続けたが、「いちご白書…」はどうしても歌う気になれなかった。「自分の作った歌じゃなかったし負い目はあった」。

 「いちご白書…」を何のわだかまりもなく歌えるようになったのは、79年に自ら作曲して歌った「SACHIKO」が80万枚近いレコード売り上げを記録してから。心にひっかかっていたあのヒット曲を、自分の作品が超えたという自負があったからだった。

 公開から31年、映画「いちご白書」は2011年11月19日から、東京・新宿などを皮切りに、全国で順次リバイバル上映される。“あの頃”の空気を今鑑賞する若者はどこまで共感できるだろうか。反応が気になるところだ。

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