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【1986年10月】乙女日和/“不思議アイドル”水谷麻里 デビュー後に太った!

[ 2011年10月11日 06:00 ]

水谷麻里の3枚目のシングル「乙女日和」
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 ★86年10月ランキング★
1 CHA―CHA―CHA/石井明美
2 深呼吸して/渡辺満里奈
3 Fin/中森明菜
4 Say Yes!/菊池桃子
5 わたし・ドリーミング/西村知美
6 B・BLUE/BOOWY
7 夏の終わりのハーモニー/井上陽水・安全地帯
8 メロディー/高井麻巳子
9 乙女日和/水谷麻里
10 接近/南野陽子
注目LONELY BUTTERFLY/レベッカ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【乙女日和/水谷麻里】

 音程が不安定な歌声とその言動がせアイドルらしからぬことが、逆に人気を集めた15歳だった。

 資生堂が主催した「’86ミスヘアコロン・イメージガール・コンテスト」で約5万4000人の中からグランプリに輝きデビューのきっかけをつくった水谷麻里だが、熱烈な芸能界志望ではなく、いとこが勝手に写真を送り、ついには頂点まで立ち、デビューせざるをえなくなった、というのが実情だった。

 受賞の瞬間に出た言葉は「どうしよう、恥ずかしい」。デビューが決まった時にも「私みたいなのを出して、会社がつぶれても知らないよ」とスタッフに話したとか。インタビューをしたマスコミ関係者が口をそろえて言ったフレーズが「不思議な女の子」だった。

 デビュー時はややぽっちゃりでも、その後みんなに見られているという思いから、女性アイドルは痩せてキレイになっていくものだが、水谷はデビュー後に体重が増えた。「おなかがすくと不機嫌になる」(水谷)ためで、レコーディングなどでストレスがたまると、お菓子をバクバク…。マネジャーが止めても、効果はなく、プロフィールの体重や3サイズの数字も「本当は違う」と言い放つほどだった。

 そんな異色アイドルが86年9月25日に発売した3枚目のシングルが「乙女日和」。デビューから続いた松本隆作詞、筒美京平作曲の路線の完結篇ともいえる曲で、オリコンでは自身最高の9位を記録した。「乙女心は晴れのち雨」という歌詞が印象的だが、このヒットで各歌謡大賞の新人賞にノミネートされるなど、1年目は順調な滑り出しとなった。

 そんな水谷が大きな期待をかけられるようになったのは、デビューから1年が過ぎた87年4月。同じ事務所の岡田有希子が自ら命を絶った後だった。同じ愛知県出身の2人ということもあり、歌にドラマに事務所の力の入れようは、岡田の死を払しょくしようとする思いがにじみ出ていた。

 そんな事務所の思いとは裏腹に、87年秋に水谷がファンだった漫画家の江口寿史氏と対談したことで交際に発展。徐々に芸能活動への興味を失い、88年3月に「長い春休みに入る」と宣言して、事実上芸能界を引退。18歳で江口氏と結婚した。

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