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【1988年10月】Heart and Soul/ヘビメタの女王 浜田麻里 飛躍のテーマ曲

[ 2011年10月2日 06:00 ]

02年、9年ぶりのライブで熱唱する浜田麻里
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 ★88年10月ランキング★
1 剣の舞/光GENJI
2 MUGO・ん…色っぽい/工藤静香
3 秋からも、そばにいて/南野陽子
4 DAYBREAK/男闘呼組
5 Only Love、Destiny/ハウンド・ドッグ
6 Heart and Soul/浜田麻里
7 DEAR ALGERNON/氷室京介
8 旅たちはフリージア/松田聖子
9 HAPPY AGAIN/酒井法子
10 セシル/浅香唯
注目Winner!/聖飢魔II
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【Heart and Soul/浜田麻里】

 韓国・ソウルを舞台にした、ソウル五輪がこの日閉幕した。男子競泳の100メートル背泳ぎで鈴木大地が金メダルを獲得するなど、日本選手の健闘が連日伝えられたが、NHKの五輪関連番組のイメージソングとして連日視聴者の耳に入ったのが、浜田麻里の「Heart and Soul」。4オクターブまで出る声と脱色した長い髪を振り乱して歌う印象的な姿は強烈で、一般的には知名度が高いとは言えなかったヘビーメタルの女王は、飛躍への一歩を踏み出した。

 デビューから2年半はヒットを狙ったシングルを出さずに「浜田麻里の世界をちゃんと理解してほしい」とアルバムのみしかリリースしないという異色の存在だった。女性を中心に固定のファンを確立した中で、「多くの人に聴いてもらわなければ歌手として寂しい」と次は自己満足からの脱却を図った。そんな時に舞い込んだNHKからのオファー。渡りに舟だった。

 NHKにとっても、五輪番組でイメージソングを採用するのは初の試みだった。プロジェクトは1年前から始まり、冬の段階で5組のミュージシャンに候補が絞られた。最終的に浜田が選ばれたのは、体重44キロの華奢な身体からほとばしるパワフルで高い声。「浜田の声は闘争心をかき立てる」というのが決め手だった。

 作詞は浜田に委ねられた。ヘビメタよりロックンロール色を強めたイメージソングに込めた思いは「一生懸命」。五輪出場選手の競技に対する思いをひと言で表現するなら、月並みだがこのテーマがピタリと考えた。それは浜田のステージにも通じる姿勢だった。

 衣装の下に水着を身に着けないと、胸がポロリとこぼれてしまうというほど激しいステージ。ライブ1回で体重は2キロ減る。ステージでのパフォーマンスをキープするために「食事は無理やりにでもステーキとかボリュームのあるものを食べる」。12歳で歌の勉強をはじめ、大学を中退してバンド活動に専念した。「女子大生が片手間で音楽をやっているとは思われたくなかったから」。半端な気持ちではなかった。

 「Heart and Soul」はセールス的にみれば16万枚程度だったが、TBS「ザ・ベストテン」にもランクインするなど、「多くの人に聴いてもらいたい」という目的は達成。翌89年には「Return to Myself」がオリコンチャートで自身初の1位に。41万枚のヒットにつながった。
 
 

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