365日 あの頃ヒット曲ランキング 10月

【1971年10月】雨のバラード/湯原昌幸 3年前のB面だった“無冠”の大ヒット曲

[ 2011年10月16日 06:00 ]

芸能界のおしどり夫婦で知られる、湯原昌幸(右)、荒木由美子夫妻
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 ★71年10月ランキング★
1 雨のバラード/湯原昌幸
2 わたしの城下町/小柳ルミ子
3 長崎から船に乗って/五木ひろし
4 涙から明日へ/堺正章
5 ホーリュシカ・ポーレ/仲雅美
6 さよならをもう一度/尾崎紀世彦
7 雨の御堂筋/欧陽菲菲
8 お祭りの夜/小柳ルミ子
9 真夏の出来事/平山三紀
10 雨の日のブルース/渚ゆう子
注目潮風のメロディー/南沙織
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【雨のバラード/湯原昌幸】

 もう少し早くヒットしていたのなら、無冠のヒット曲にはならなかったのかもしれない。

 グループサウンズの先駆け的存在だった「スウィング・ウエスト」のリードボーカルにして7代目リーダーだった湯原昌幸のソロ2枚目のシングル「雨のバラード」が9月ごろからレコードが売れ始め、10月18日付のオリコンチャートでついに1位に。3週連続トップに立ち、計62万枚のセールスを記録した。

 発売したのは4月。新曲のレコーディングも済ませたあたりからレコードがおもしろいように売れた。これといったキャンペーンをしたわけでもなく、CMソングでもなかった。銀座のクラブなどで弾き語りをしていたことはあったが、ヒットチャートの上位になぜ昇ってきたかの明確な説明がしずらい、不思議なヒット曲だった。

 純粋な新曲ではなかった。GS時代の68年に「幻の乙女」をリリースしたが、そのB面の曲だった。「幻の…」は10万枚の中ヒットだったが、これをリメークして発売した「雨のバラード」は、湯原の持ち味であるビブラートがちょっとかかった声によく合い、哀愁を帯びた曲調が心に響いた。

 この年、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、五木ひろし「よこはま・たそがれ」と、純粋な新人ではなく、以前何らかの形で歌手デビューした再出発組の曲が相次いでヒットした。湯原もその部類に入るのだが、尾崎にしても五木にしても春先からヒットし、夏場には2曲目をリリースし、これも売れた。対する湯原は4月に発売しながら、売れ始めたのは秋で11月に“第2弾”がリリースという状況だった。賞レースやNHK「紅白歌合戦」の選考には、いささか不利と言わざるをえず、湯原最大のヒット曲は“無冠”のまま終わってしまった。

 高校2年の時に、歌手への登竜門として知られた日本テレビの音楽番組「ホイホイミュージック・スクール」の出演をきっかけにデビュー。「雨のバラード」のヒット曲で歌手としてその実力が認められると、コメディアン、俳優としても活躍。70、80年代を代表する売れっ子タレントの一人だった。アイドル歌手、タレントの荒木由美子と結婚。芸能界きってのおしどり夫婦として知られる。

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