観光船再引き上げ 使用ベルト3本減のナゼ?専門家が解説「ベルト本体にかかる力は増す」

[ 2022年5月26日 13:01 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 元海上自衛官で水難学会の安倍淳副会長が26日、TBS系「ひるおび」(月~金曜前10・25)にリモートで生出演し、知床半島沖で引き上げ後のえい航中に再び海底に落下した観光船「KAZU 1(カズワン)」の船体と、再引き上げ作業について解説した。

 水中カメラや潜水士による調査で、船体の左側の船底に穴が3カ所、開いていたことが分かった。安倍氏は、船が知床半島の西から南西のウトロ港への戻り行程にあった可能性を推測。その上で「うねりと風によって、半島側に寄ってしまったのでは。それで暗礁側に乗り上げたり、こすったと考えられます」と分析した。

 水深182メートルの海底に落下した船の引き上げ作業に向け、この日も午前から準備が進められている。前回は5本のベルトを使って水深20メートル付近までつり上げられたが、そのうち2本のベルトが切れて落下。今回は強度を増したベルトを2本だけ使用し、引き上げる。ベルトの本数を減らした意図について、安倍氏は「水中のカズ1の重量は前回と変わらずですが、前回より強度を増し、3点支持から2点支持に変わったということで、ベルト本体にかかる力は増します」と解説。「安定した状態で水面付近までは上がってくると考えます」と見通しを語った。

 引き上げ後は、作業船の横で船体の一部を海面に露出させてえい航される「横抱き」というえい航方法が取られる。安部氏は「前回は水中えい航、証拠物たる船をできるだけ傷めないように、水中で静かに卵を運ぶような方式で運ぶ必要があったと考えます」と解説。「今回は1度落ちてしまったので、安定して運ぶことに主眼が置かれた処置かと思います」と、目的によって作業方式が変わった可能性を指摘した。

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2022年5月26日のニュース