「ちむどんどん」石川のプロポーズ 制作側「山田裕貴さんが役柄をふくよかに」

[ 2022年5月26日 08:30 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」第34回で、良子にプロポーズする石川博夫(山田裕貴)(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】26日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第34回で、比嘉家の長女・良子(川口春奈)が、教員・石川博夫(山田裕貴)のプロポーズを受けた。

 演出の松園武大氏は「良子と石川、喜納金吾(渡辺大知)の話は第3週(4月25日~29日)からずっと描いて来ました。見て頂いていた方々は『石川、しっかりしろ!』と思っていたでしょう。この話は石川の本気が見えないと決着できないと考えていて、あの場面で、賢秀(竜星涼)がその本気を引き出す役割を果たしました」と話す。

 比嘉、喜納の両家が顔合わせをする場面。金吾が良子の左手薬指に婚約指輪をはめようとした瞬間、石川が駆けつけた。

 松園氏は「賢秀は自分がついたうそをごまかすために石川を追い返そうとするが、石川は必死に立ち向かう。必死になって食い下がっているうちに、胸の底にあった良子への思いが言葉として引っ張り上げられる。良子と石川は賢秀のおかげで結びついたと言える構造になっています」と説明する。

 石川は良子に率直な言葉でプロポーズ。あまりの急展開に驚きつつ、一粒の涙をこぼす良子の表情が可憐だった。

 松園氏は「良子が家の中、石川が外、その間に賢秀が立ちはだかっているという構図で、良子と石川の間には距離があり、視線を交わす時などに良い意味でのもどかしさが生じました。2人の間の距離を石川が必死に賢秀に立ち向かっていくうちに徐々に詰めていく感じがよく出ています。あのシーンはとても長く、撮影するのに5、6時間かかりましたが、出演者のみなさんは集中力を一切、切らすことなく、どの瞬間を切り取っても、素敵なお芝居をしてくださりました」と話す。

 良子に対してずっと煮え切らない態度を示し続けていた石川。この場面で、別人のように、一気に反転攻勢に出た姿が鮮烈だった。

 松園氏は「山田裕貴さんが役柄をふくよかにしてくださっています。石川は迷い、葛藤し、言いたいことを言えないけれど、山田さんの表情、お芝居には、単純なステレオタイプではない、豊かさがある。ご本人は役柄とは異なり、とてもしっかりされていて、撮影中もいろいろなアイデアを出してくださっています。お芝居が大好きで、撮影現場で私たちと楽しく話し合いながらお芝居をふくらませてくださっている感じがします」と明かす。

 良子は戸惑い、怒りつつも結果的にプロポーズを受諾。2人が幸せな結末を迎える展開となった。

 松園氏は「2人はこれから、ある種、夫婦の普遍的な部分を担うことになります。夫婦としての悩み、親としての悩み、実家との付き合い方の悩み…。衝突し、仲直りするけれど、また衝突することもある。一筋縄ではいかないので、温かく見守っていただきたいです」と語る。

 2人にはまだまだ試練が待ち受けているようだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年5月26日のニュース