【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】魔物呼ぶ智弁和歌山の「ジョックロック」

[ 2018年7月31日 09:00 ]

象の物まねをする柳沢慎吾
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 「甲子園には魔物が棲んでいる」っていうけど、それを引き起こす“魔曲”がある。智弁和歌山(和歌山)の応援曲「ジョックロック」は、勇猛な曲調が相手を威圧する。

 2000年に吹奏楽部の先生がヤマハのデモテープをアレンジして作った。いきなり同年夏の準々決勝・柳川戦で、魔力が爆発した。2―6で迎えた8回。取りつかれたように“魔曲”が鳴り響くと2本塁打で同点にし、延長11回サヨナラ勝ち。最後の最後まで甲子園にジョックロックが流れていた。

 6年後の帝京(東京)との準々決勝も“魔曲”で決まった。9回に帝京の猛攻で8点を入れられて4点差で迎えた最終回。アルプススタンドから襲いかかるジョックロック。すると帝京の投手が崩れた。ストライクが入らない。2者連続四球からの3ランで1点差。その後、投手交代も最後も四球で押し出し。結局、9回に6四死球で智弁がサヨナラ。そんなことってある?魔曲恐るべしだよ。

 「アメトーーク!」の甲子園応援歌ランキングで1位の「アフリカンシンフォニー」も智弁和歌山が元祖。ジョックロックと違って、重厚な声援で相手にプレッシャーをかける。この2曲で畳み掛けるんだから相手はたまったもんじゃないよ。

 そして今年の地方大会で最もはやっている応援歌が「アゲアゲホイホイ」。14年に演奏を開始した報徳学園(兵庫)が元祖。洋楽「サンバ・デ・ジャネイロ」が原曲でラテン系のノリ。合いの手がシャンパンコールっぽいから、報徳の野球部員は「クラブ」と呼んでるらしい。全国で150校以上が使っているというから高校野球史に残る大ヒット曲となっている。

 智弁と報徳の関係性も面白い。智弁は「サンバ…」を応援曲で使っているのに「アゲアゲホイホイ〜」の合いの手は絶対に入れないんだよね。こんな意地のぶつかり合いがあるのも、甲子園だよ!

 報徳といえば忘れられないのは、荒木大輔の“大チャン”フィーバーが社会現象となっていた1981年の早実戦。報徳が延長10回にサヨナラ勝ちしたけど、エース・金村は「あの試合で日本中を敵に回した」って嘆いていた。やっぱり女性を怒らせたら“魔曲”以上に怖いよね。

 兵庫県は甲子園のお膝元とあって今じゃ考えられない応援団もあった。戦後間もない51年のセンバツで鳴尾(兵庫)が、隣にあった甲子園阪神パークから象を連れてきた。さすがに試合前に強制退場となり、主催者側から怒られたみたいだけど、御利益があったのか鳴尾の野武投手がノーヒットノーランを達成したのよ!凄いよね。魔物だけじゃなく象まで棲んでる甲子園。“マンモス”って言われるわけだよ(笑い)。

 ▼甲子園阪神パーク 1929年(昭4)に開園。動物園などを併設。戦争で閉鎖され戦後の50年に球場東隣に再建。03年閉園。

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