【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】野太い声響かす仙台育英、「必殺仕事人のテーマ」も秀逸

[ 2018年7月18日 09:00 ]

メガホンを回して仙台育英の重厚な応援を再現した柳沢慎吾(撮影・会津 智海)
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 東北の雄といえば仙台育英(宮城県)。3年前に仕事で仙台へ行った時。地元の人に「今年は強いですよ」と言われたので注目していたら、ボクの地元・神奈川の東海大相模と決勝戦。

 東北の悲願がかかった大一番では「必殺仕事人のテーマ」が秀逸だった。♪チャララァ〜って哀感に満ちたトランペットのソロで始まる、あの曲よ。スタンドが「ワーッ!」って沸いてね。

 その時、畳みかけるように「オーオーッ、オオオー」って野太い声が球場全体に響き渡った(※文末の動画<1>参照)。バスドラムのドォン、ドォン!って音も地響きのようにアルプススタンドを揺らすのよ。

 とにかく仙台育英の応援は重厚。スクールカラーの青と黄のメガホンを回して大観衆を巻き込むのもうまい。球場の雰囲気を一変させる力があるね。

 隣の山形県では山形中央のチャンステーマ「カモンマーチ」が破壊力抜群。同校の“必殺のテーマ”だね。

 伝統的な応援で選手を鼓舞し、相手にプレッシャーを与える高校もある。夏だけで10回の甲子園出場経験がある古豪・福岡(岩手県)。漫画「ドカベン」で明訓高校に唯一土をつけた弁慶高校のモデルとしても有名だね。

 旧制中学時代から受け継がれているバンカラ応援団は破れた帽子をかぶってボロボロの学ラン姿で、腕組みしながら相手側をにらみつけるのよ。「80キロ行軍」も名物で(※文末の動画<2>参照)。学校のある二戸市から盛岡市の球場まで夜通し歩いて駆けつける。しかも、球場に着いたら炎天下で、声をからして選手を鼓舞し続けるんだから“男気ハンパない!”。県大会では、同じく旧制中学の流れをくむ盛岡一などとのバンカラ応援対決も話題になるよね。

 東北の悲願に最も近づいた一校が71年の磐城(福島)。身長1メートル65の田村隆寿投手が準決勝まですべて完封。長打すら打たれてなくて「小さな大投手」と呼ばれた。この時の決勝戦の相手もボクの地元・神奈川の桐蔭学園。炎天下の甲子園7回裏0―0。突然降り始めた夕立に、田村投手“必殺”のシンカーが滑った。大会を通じて失ったのはこの1点だけ。「ドカベン」で山田太郎初の決勝戦の相手は「いわき東」。水島新司先生の胸にも磐城高校の奮闘は刻まれていたんだね。ボクは当時子供だったけど、あのコバルトブルーのユニホームはいまも脳裏に焼きついている。校歌が凄く短かったこともね。

 ▼仙台育英6―10東海大相模(15年決勝)仙台育英は同点の9回にエース佐藤世那が痛恨被弾。悲願の白河関越えならず。

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