桐生祥秀を寄せ付けなかった天才ランナー “早熟”の苦悩を乗り越えた感動のレース

[ 2018年1月1日 15:10 ]

当時を振り返り笑顔の桐生祥秀(C)TBS
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 2017年9月9日。待ちに待った歴史的瞬間が訪れた。福井県営陸上競技場で行われた全日本インカレ・男子100メートル決勝で東洋大の桐生祥秀(22)が9秒98で優勝。日本人初となる9秒台をマークした。日本が熱狂に包まれるなか、そのわずか2時間後に同じく福井県営陸上競技場でもう1つのドラマが生まれていた―。

 日本最速の称号を手に入れた桐生には中学時代、1度も勝つことが出来なかった同学年のライバルがいた。中学生にして陸上雑誌の表紙を飾り、中学最後の全国大会では桐生らを寄せ付けず圧勝。200メートル決勝で記録した21秒18は、いまだ破られていない中学生日本記録で、当時、桐生は「もう(勝つのは)無理だな」と脱帽したという。その男の名前は日吉克実(22)。将来を嘱望された日吉だったが、高校進学後はオリンピックや世界陸上に出場しておらず、日本代表にも選ばれていない。天才ランナーは思いもよらない壁にぶつかっていた。

 中央大学で陸上を続けている日吉はタイムが伸びるはずの高校時代、中学時の自らのタイムすら越えることができず、桐生だけでなく多くの同学年のライバルに逆転を許した。「あいつはもう無理だ。日吉は終わった」―。周囲の厳しい声も耳に入るようになった。歯がゆさから陸上をやめることも頭をよぎったという。

 しかし、中学卒業から7年間苦しみながらも努力を続けた。「もう一度日本一になりたい。日本一の絶景をもう一度味わいたい」。すべての思いをぶつける大学最後の全日本インカレ。日吉は4×100メートルリレー決勝に、中央大の第3走として出場。東洋大のアンカーは2時間前に日本人初の9秒台をマークしたばかりで、かつてのライバルで日本中の注目を一身に集める桐生。中央大は4走のアンカーまでに差を広げないと勝ち目がなかった。

 3日放送のTBS「消えた天才 一流アスリートが勝てなかった人大追跡」(後6・00)には桐生がスペシャルゲストとして出演。桐生とともに実際のレース映像を見届けた番組MCのバナナマン設楽統(44)、日村勇紀(45)、ゲストの石原さとみ(31)らは日吉の激走と感動の結末に大興奮。日吉を支えると公言する紅白出場歌手の存在も明らかとなる。

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