山本耕史「真田丸」新・三成役で新境地 三谷氏に感謝「転機になる役をくださる」

[ 2016年9月18日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」で石田三成を演じる山本耕史。18日放送の第37話「信之」で三成は最期の時を迎える(C)NHK

 NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で俳優の山本耕史(39)が戦国武将・石田三成を熱演している。豊臣秀吉亡き後、内野聖陽(48)演じる徳川家康との対立が深まり、11日放送の第36話「勝負」では、天下分け目の「関ヶ原の戦い」を迎えた。これまで多くの戦国物語で悪役だった三成だが、三谷幸喜氏(55)が手掛ける本作では、冷静でありながらも人間味のある熱い男として描かれている。関ヶ原に至るまでの過程で、三成が抱えていた焦燥感とやるせなさを巧みに表現した山本が役への思いを語った。

 秀吉の右腕として政権運営を担い、冷静な判断でテキパキと指示を出していた三成。馬廻衆として秀吉に仕えた主人公・真田信繁(堺雅人)も三成に厚い信頼を寄せるが、秀吉が亡くなってから三成の立場は急変。有力大名による政権運営が始まり、三成と家康の対立が鮮明になる。

 第32話「応酬」で描かれた両者の酒席の場面が顕著で、加藤清正(新井浩文)や伊達政宗(長谷川朝晴)ら多勢は家康に傾き、三成の形勢は不利になる。山本は「こんなに人望がないのだなって」と笑ってから、三成について「家康の方には(武将が)物凄く集まる。三成の方には全然集まらない。台本を読んでいて心が痛かったです。かわいそう。こんなに豊臣家のために全てを懸けてやってきたのに、追いやられてしまう。切ない、理不尽な人生だなあと思いました」と述べた。

 冷静な男が人間らしい感情をさらけ出したのが第34話「挙兵」だ。家康暗殺に失敗し謹慎することになった三成への怒りが収まらない清正らは三成襲撃を計画。家康自身がいさめたが、三成は蟄居(ちっきょ)を命ぜられる。三成は「なぜだ。殿下にすべてをささげ、殿下亡き後は豊臣家のために全てをなげうってここまでやってきた。なにゆえ私は伏見を追われなければならないのか…」と涙。視聴者の心を震わせた。山本は「豊臣家を一番気にして、何とかしなければと思っていたのが三成だった。もう少し臨機応変に物事を捉えることができれば、柔軟な生き方ができただろうなと思いますが、そこが三成という人気のある忠義の人、愛すべき人物なのだと思います」と魅力を語った。

 視聴者が共感する、これまでの三成像とは異なる部分はどこか。山本は内に秘めたる情熱以外に「チャーミングなところ」と挙げる。「信繁が殿下亡き後も『石田様に仕えたい』という感動的なシーンがありましたが、三成は信繁に『私はほとんど間違えることはないが、たまに失敗することもある。そのときは遠慮なく言ってくれ』と言う。ほとんど間違えることはないと真正面に言うところが三成っぽいなと思いました。また、『老衆と奉行10人の合意がいるから疲れる』と話すと、信繁が『石田様以外にできません』と言って『私もそう思う』と答える。信繁との対話で三成のチャーミングというか、愛すべき真っすぐなところが出てきます。自分も台本を読んでいて引き込まれました。この人の味方になってあげたいなと思いました」と明かす。

 魅力ある役を与えてくれた三谷氏への感謝も忘れない。「12年前の『新選組!』(副長の土方歳三役)でも俳優の幅を広げてもらった。自分にとって転機になるような役を振ってくださる。三谷さんにとって、石田三成はおそらく好きな人物。それを僕にやらせてくださった。なるべく思いにかなうようにお芝居しました」

 関ヶ原の戦いで敗れた三成は、18日放送の第37話「信之」で最期のときを迎える。「三成は難しいセリフが多く、乗り越えなきゃいけないなと思うシーンがたくさんあったが、不器用ではあったけれど、まっすぐに清く駆け抜けることができた。寂しさはありますが、悔いなくこの現場を終われるかなと思います」と半年間の撮影を振り返った山本。力演した「山本三成」の生きざまを見届けたい。

続きを表示

この記事のフォト

2016年9月18日のニュース