幸せ2倍!「勘太郎→勘九郎」3年後に襲名

[ 2009年8月27日 06:00 ]

 歌舞伎俳優の中村勘太郎(27)が2012年に「六代目中村勘九郎」を襲名することになった。26日、都内で行われた東京・銀座の歌舞伎座改築に関する会見で、松竹の安孫子正専務が発表した。父の中村勘三郎(54)が46年間名乗った由緒ある名跡。10月28日には女優・前田愛(25)と挙式。“幸せ2倍”に浮かれることなく「一生懸命に精進していきます」と気を引き締めている。

 「お話をうかがって、びっくりしています」
 27日に千秋楽を迎える「歌舞伎座八月納涼歌舞伎」に出演中の勘太郎は、吉報に驚きを隠せなかった。舞台を下りれば、2カ月後に控える前田との挙式の準備に大忙し。4月の婚約会見の席上でも「襲名の具体的な話はありません。いつか継げれば」と話し、まだ先のことと思っていた。結婚と並んで訪れた人生の転機に「とにかく今後も一生懸命に精進していきます」と喜んだ。
 「勘九郎」は、1600年代前半に名乗られ始めた由緒ある名前。父・勘三郎が3歳で歌舞伎座で初舞台を踏んだときに名乗った名前でもある。勘三郎は勘九郎時代に、NHK大河ドラマ「元禄繚乱」(99年)に主演、「平成中村座ニューヨーク公演」(04年)を成功させるなど、一代で名前を大きくした。勘太郎は学生時代から、その姿を目の当たりにしてきただけに「子供のころからのあこがれでした」と興奮を隠せない。
 襲名披露興行を始める月、演目などは未定。ただ05年3月に始まった父・勘三郎の襲名披露興行に約1年間同行しており、襲名の重みは見知っている。息子の出世に勘三郎は「私も46年間名乗っていた愛着のある名前なので、変な気がするよ」と苦笑い。「結婚も決まっているし、いいステップアップになる。自分なりの勘九郎を作り上げて、いい役者になってほしい」と“父親超え”を期待した。
 唯一、残念なのは87年に中村勘太郎として初舞台を踏んだ歌舞伎座で襲名興行ができないこと。歌舞伎座は来年5月から約3年間かけて改築。その間は新橋演舞場を代替劇場にする予定で、襲名興行のメーン劇場も同所となりそうだ。松竹では「六代目勘九郎襲名」を歌舞伎座が休業中の3年間の“メーンイベント”にし、集客の柱にしたい考え。襲名時に30歳になる“六代目”の双肩は、歌舞伎の未来も担うことになる。

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2009年8月27日のニュース