“引退宣言”も飛び出した…談志が年内キャンセル

[ 2009年8月27日 06:00 ]

今年2月、高座に復帰した立川談志だったが、糖尿病で年内の仕事はキャンセルとなった

 落語家の立川談志(73)が26日、糖尿病による体調不良のため年内の仕事をすべてキャンセルすると発表した。所属事務所によると、医師から「約3カ月の治療を要する」と診断され、来月はじめにも入院する。21日に都内で弟子の立川談笑(43)の落語会に出演した際「落語もこれが最後だと思う」と吐露。高座から1人で下りることができず、談笑がおぶって退場していた。

 所属事務所によると、今月14日に本人から「体調がすぐれないのでしばらく休みたい」と申し出があった。
 原因は約5年前に患った糖尿病。昨年秋に発症した「声門がん」はほぼ完治しており「今回の病状とは関係なく、命に別条はない」と所属事務所の松岡慎太郎社長。
 2カ月ほど前から手足のつり、足元のふらつきが目立ち始めたそうで「食欲もなく、体力、思考力、仕事への気力ともに著しく低下し、糖尿病による症状が顕著だった」と説明。医師に「約3カ月の治療、入院を要する」と診断されたという。現在、自宅療養中で、来月はじめにも入院するつもりだ。
 これを受け、本人と関係者、医師で協議した結果、現状では仕事の続行が不可能と判断。今年いっぱいの仕事をキャンセルすることにした。
 レギュラー番組ではNHKラジオ第1「新・話の泉」を一時降板。公演は立川談志一門会など計11公演を中止、もしくは代演を立てることで調整している。3カ月に1回のペースで連載中の雑誌「en―taxi」については、本人の負担も少ないため、休載せずに続けられるか検討中だ。
 復帰の時期は未定だが「本人も体調が回復次第、仕事を再開したいと考えている」と松岡社長。ただ、今月21日に出演した落語会では「もう落語もこれが最後だと思うんです」と“引退宣言”して観客を驚かせていた。
 糖尿病により思考力、記憶力が著しく低下したため、話の筋を何度も間違える事態に「ひどいことになっちゃったな…」と自ら漏らし、しばらく絶句したほど。ただ、最後には「見てる方もつらいだろうが、やってる方もつらい」と言って客を笑わせ、愛弟子におんぶされて退場する際も盛大な拍手を浴びていた。
 談志は年内休業に「とにかく体調不良でご迷惑かけてすみません」とコメントしている。

 ◆立川 談志(たてかわ・だんし)本名松岡克由(まつおか・かつよし)1936年(昭11)1月2日、東京都生まれの73歳。52年高校を中退して五代目柳家小さんに入門し、小よし。54年二つ目に昇進し小ゑん。63年立川談志を襲名し真打ち。71年参院選に出馬し当選も、75年に辞職。83年、落語協会を脱会し落語立川流を創設、家元となる。弟子に立川志の輔、談春ら。

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2009年8月27日のニュース