山中貞雄監督の玩具映画 幻の作品の断片発見

[ 2009年8月27日 18:33 ]

 才能が高く評価されながら、28歳の若さで亡くなった山中貞雄監督の幻の無声映画「鼠小僧次郎吉 道中の巻」(1933年)のフィルムの断片が発見されていたことが、27日分かった。劇場上映終了後、1分間程度の見せ場だけを複製して家庭用に販売した35ミリの「玩具映画」の形で残っていた。

 見つかった玩具映画には、少年を連れて歩いている時代劇スター、大河内伝次郎演じる鼠小僧が、町人風の男たちにすれちがいざまに縄をかけられ、チャンバラを始める様子が収められている。

 昨年、大阪府のコレクターが大阪芸大の「玩具映画プロジェクト」(代表・太田米男教授)に持ち込み、同プロジェクトが劣化したフィルムを復元した。玩具映画は大正期から昭和初頭に普及、ブリキ製の玩具映写機で観賞された。

 太田教授は「山中作品はほとんど現存せず、短いものだが貴重な資料だ」と話している。

 山中監督の生誕100年を記念して、9月12日に京都文化博物館で、16、26日に東京国立近代美術館フィルムセンターで上映される。

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2009年8月27日のニュース