岸川勝也氏 秋季キャンプは個々の技量アップに加え、チーム打撃と状況判断も磨く場

[ 2023年11月7日 06:00 ]

ソフトバンク・村松コーチ
Photo By スポニチ

 【岸川勝也 鷹論】小久保新監督の秋季キャンプが始まった。注目したいのは村松1軍打撃コーチだ。彼は主軸を打つタイプではなく、その場面によって状況判断ができる打者だった。どういうことを選手に伝えるか。一つはチーム打撃のこともあると思う。

 秋は技術を上げていくのは当然だけど、1軍の試合の中でできていないことを並行して、意識付けさせることも重要だ。いろんなことをやらせていかないと、成長はしない。

 試合の中ではチーム打撃、状況判断する能力。判断に即した打撃ができるかどうか。ここ数年はそこの部分は欠けていた。例えばセーフティーバントのサインが出たとする。その中で送りバント優先のセーフティーバントかどうかの意識が、打者から感じられない。ただ、やればいいと考えている印象だ。それはコーチが教えないといけない。そのあたりが、ここ最近のオリックスとの差と思う。

 必要なのは決め事をつくること。チームとしては、このアウトカウントでこのサインが出たら、これをやりなさい。ノーアウト二塁で、サインはフリーというケースがあれば最悪、1アウト三塁の場面をつくった方が攻撃としては有利に働く。当たり前だが、右方向にヒットを打ちにいかないといけない。5、6年前の常勝だった時はなくても勝つことができたが、世代交代が進まない今は、そういう部分からやっていかないといけない。

 攻撃というのは27個のアウトをどれだけ、生きたアウトにできるかどうか。村松コーチの現役時代のように1、2番の期待がかかる周東、三森はまだ、そこに対応できていないように見える。ボールが来たから打っている。来た球を見てスイングしないとダメ。簡単に言えば間。これは練習をするしかない。

 主力を脅かす選手は出てきていない。期待されている正木やリチャードは真っすぐを打てない。ならば、それを変えてあげないといけない。来季、主軸は柳田、近藤、ケガが治った栗原も戻ってくるだろう。若手が育たずとも、得点力は12球団で上位の戦力がある。ならばあとは周りを打つ打者がどう、機能するかになってくる。

 秋は技術を上げることと同じくらいチーム打撃、高いレベルの状況判断ができるようになれるかが、1年後の“収穫”につながるのではないかと思う。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年11月7日のニュース