「正直、辞めたかった…」若林弘泰監督が東海大菅生に帰ってきた理由 解任を経て288日ぶりの指揮

[ 2023年9月3日 23:35 ]

秋季高校野球 東京都大会一次予選   東海大菅生10―0多摩大聖ケ丘 ( 2023年9月3日    東海大菅生グラウンド )

復帰戦の後、室内練習場でインタビューに答える若林監督(撮影・柳内 遼平)
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 今春の選抜に出場した東海大菅生(東京)が3日、10―0で多摩大聖ケ丘に6回コールド勝ちし、1次予選の初戦を突破。新チームから指揮を執る若林弘泰監督の下、リスタートを切った。

 同氏は昨年8月に部員への体罰があったとして1月に日本学生野球協会から4カ月の謹慎処分を受け、監督解任となっていた。

 最後の公式戦から288日。再び東海大菅生のユニホームに袖を通した指揮官の心境を聞いた。(聞き手・柳内 遼平)

 ――09年から指揮してきたチームを1月に離れた。

 「その原因は自分の行動にあります。(振り返ると)“やっぱり違った”と思っている。厳しい指導と、体罰は違うと考えています」

 ――再び、監督に戻ってきた心境は。

 「本当に公式戦はざっくり言って、1年ぶりくらい。やっぱり公式戦は緊張しますね」

 ――新チームになって選手にはどんな話を。

 「普段と変わらないことを言っています。“生活がプレーに出る”と。今の2年生はまだまだこれからです」

 ――いまのチームをどう見る。

 「ずっと選手を見ていなくて、改めて(選手は)“かなりいいんだな”と感じましたね。やっぱり技術的なモノとかね。フリーバッティングを見ていると下手したら、今までの世代で一番いいんじゃないかなと思いました。ただ、試合になるとそれだけじゃない。チームとして力になっていないので、いろいろな意味で1つになって大きなパワーにできればと思います」

 ――どんな指導をしていく。

 「僕の信念ですけど、全力で選手にぶつかっていって、全力でしかることは変わらない。それで分かってくれればいいし、今は分からなくても何年か後にわかってくれるかもしれない。そういった意味で言葉が大事になってきます」

 ――今夏は「エンジョイベースボール」の慶応が日本一に。
 
 「選手とも話しをしました。楽しくやっていくというのはどういうことか。やっぱり楽しいっていうのは上達していくこと、次の目標がかなっていくこと。僕が言っているのは練習を厳しくやって公式戦を楽しもうと。ただ、笑ってやることが楽しいじゃないよねって。勝負師として良い顔してやろうよって言っています」

 ――選手には自主的に考えることを求めている。

 「ミーティングは基本的に選手でやらせています。自分の考えを言ってもらう。僕からの一方通行ではダメ。選手の中でいろいろな考え方が出てくる。選手の中で話し合うと土台ができる。いろいろな見方ができる。何年もやっていることです。ミーティングの中でも“抑えられないのはコントロールが悪いからだ”ではなくて、どうすればコントロールが良くなるか、どういう練習をするか、というふうに持っていきたい。最初から監督が言うことをせずに考えることを待っています。答えじゃなくて、ヒントというか“なぜだ”を与えるようにしています」

 ――野球から離れた期間はどうだった。

 「そうですね。悶々とした日々でした。いろいろなことに気づかされた日々でもあります」

 ――多くの批判がある中でも監督復帰を望む声もあった。

 「正直、辞めたかったです。それでもそういう人たちにためにも頑張らなくちゃいけないなと。3年生を指揮することはできなかったのですが、2年生、1年生や中学3年生とのつながり。だれのために頑張るというとそういう人たちのためです」

 ――現在の目標は。

 「3年生にはかわいそうな思いをさせましたけど、もう1回、甲子園につれていきたいなと。その方向を示せればなと。僕は高校の時に甲子園には出れなかったけどプロでも甲子園の時はうれしかった。やっぱり野球を始めた一番最初の目標は甲子園。つれていきたいですね」

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