日本ハム・田中正義 晴れやか笑顔のプロ7年目初白星 サヨナラ呼んだ9回3者連続三振で5位再浮上

[ 2023年5月8日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム3-2楽天 ( 2023年5月7日    エスコンF )

<日・楽>ウイニングボールを手に1勝ポーズで写真に納まる田中正(撮影・高橋 茂夫)
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 悲願の初勝利だ。日本ハムは7日、楽天に3―2でサヨナラ勝ち。同点の9回を3者連続三振に仕留めた田中正義投手(28)が、プロ7年目で待望の初勝利を挙げた。16年のドラフト会議で5球団から1位指名を受けた逸材も、昨季まで所属したソフトバンクでは未勝利。FA人的補償で移籍した新天地でついに花が開いた。チームも新庄政権では初の3カード連続勝ち越し。ゴールデンウイークを6勝2敗の12球団最高勝率で締め、5位に再浮上した。

 右肩と右肘にアイシングを付けたまま、田中正は夢中でグラウンドへ飛び出した。苦節7年、劇的なサヨナラ勝ちを呼び込んでプロ初勝利。プロ初セーブを挙げた4月26日のオリックス戦ではお立ち台で涙を流したが、この日は最後まで晴れやかな表情だった。

 「凄く時間はかかってしまったが、こういう景色が見ることができて、うれしいです」

 圧巻だった。同点の9回に4番手で登板し、小郷を131キロフォークで見逃し三振。続く太田、山崎をこの日最速154キロ直球で空振り三振にねじ伏せた。3者連続三振。その裏の劇的勝利に新庄監督は「もう、驚かないね。3人で終わらせてくれた結果がサヨナラ勝ちにつながった」と称賛した。

 創価大時代に155キロ右腕として注目され、16年ドラフトで日本ハムを含む5球団競合の末、ソフトバンクへ入団。しかし、思い描いたプロ野球人生とはほど遠かった。右肩や右肘の故障に悩まされ、昨季まで通算34試合の登板で未勝利。高卒でプロ入りしたエンゼルス・大谷と同学年で「翔平」「ジャスティス」と呼び合う仲だった。カブス・鈴木、アスレチックス・藤浪ら、同学年が次々とメジャー挑戦する最強世代の一角を担うと期待されたが、結果の残せない日々。引退も覚悟の上で、前年まで師事していたメッツ・千賀の元を離れて都内で単身自主トレしていた今年1月、転機が訪れた。

 FAでソフトバンクへ移籍した近藤の人的補償での加入が発表された。「6年間、結果が出ていない中で7年目の契約をもらえた。だからこそホークスに恩返しをしたい思いはあった」と本音を語るが、「自分ができることはマウンドに上がり、元気な姿を見せ続けること」。新天地で復活を目指し、猛アピールを続けてきた。

 新庄監督から「打たれた時でも笑って投げればいい」と背中を押され、マウンドでは笑顔を絶やさないのが正義流。創価高から同僚の池田が「ニヤニヤして155キロ。危なすぎやろ」と評する“キラースマイル”で打者に恐怖感を植え付け、守護神の座をつかんだ。

 ようやく手にしたウイニングボールは「両親に渡したい」。チームは4月29日からのゴールデンウイークを6勝2敗の12球団最高勝率で締め、5位に再浮上した。田中正もチームも、長い地獄を味わってきたが、高い潜在能力がいよいよ開花の時を迎えつつある。(清藤 駿太)

 ≪移籍後初勝利は5人目≫日本ハムが4月1日楽天戦以来今季2度目のサヨナラ勝ちで、4月28日からはソフトバンクに●○○、西武に○●○、楽天に○●○と3カード連続の勝ち越し。3カード連続勝ち越しは、19年7月の4カード連続以来4年ぶりだ。田中正は7年目でプロ初勝利。FA人的補償で移籍した投手は田中正も含め23人いるが、そのうち移籍先でプロ1勝目を挙げたのは5人目。

 ◇田中 正義(たなか・せいぎ)1994年(平6)7月19日生まれ、横浜市出身の28歳。創価高1年秋に外野手に転向し、創価大で投手に再転向。3年時に大学日本代表入りし、ユニバーシアード大会で初の金メダル獲得に貢献。16年ドラフト1位でソフトバンク入団。2年目の18年4月1日オリックス戦でプロ初登板。今年1月にソフトバンクへFA移籍した近藤の人的補償で日本ハムに加入した。1メートル88、93キロ。右投げ右打ち。今季年俸は1200万円。

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