サラリー総額472億円超のメッツ 17勝18敗の借金生活 GMは「近接誤差は避けるべき」というが…

[ 2023年5月8日 12:26 ]

メッツのビリー・エプラーGM(AP)
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 メッツは7日(日本時間8日)に6-13とロッキーズに大敗、17勝18敗と借金生活に入った。開幕から14勝7敗の好スタートだったが、以後3勝11敗と急降下。本拠地シティフィールドでの試合で地元ファンのブーイングを浴びた。ライバル、ブレーブスに早くも7ゲーム差を付けられている。得失点差は-10。投手陣の防御率は4・74で30球団中22位、攻撃陣のOPS(出塁率+長打率)は・707で18位である。

 史上最高の3億5千万ドル(約472億円)を超えるサラリーでスター選手を揃えているのに、なぜこんな数字なのか?ビリー・エプラーGMはニューヨークの記者の囲み取材に「長いシーズンの間には10試合から15試合の期間ですごく良かったり、すごく悪かったりという時期があるもの。Recency Bias(近接誤差。直近の出来事が印象に残り、全体の評価が正しくなされていないこと)は避けなければならない。まだ今季のメンバーについての評価を下すには早い。メモリアルデー(5月29日の戦没将兵追悼記念日)くらいまでは待つべき」と返答している。

 そして明らかに気がかりな選手についても「これまでの実績がある。信じている」と言い切る。例えば打率・213、1本塁打のスターリング・マルテ外野手は「特別な選手、自分で打開策を見つけられる」と期待する。2本塁打、長打率・412とパワー不足の指名打者ダニエル・ボーゲルバックについても、防御率5・56のマックス・シャーザーについても「心配していない」だった。「選手たちは才能に応じた結果を出す。そこは疑ってはいない」と明言する。

 メッツ不振の大きな要因はケガ人が続出したことだ。スポーツイラストレイテッド誌のベテラン記者トム・ベデューチは、メッツの野手の平均年齢はメジャー全体で上から2番目、投手は一番上。ケガ人が多いのは当初から予測されていたとした上で、浮沈のカギを握る選手が2人いると指摘する。

 まずはシャーザー。球界最高年俸4333万ドルに見合うエースのピッチングを期待されているが、実は過去13試合はポストシーズン含め、5勝6敗、防御率4・63と成績が落ちている。7月に39歳になるが、直球の球速が落ち、スピン率も下がっている。4月19日のドジャース戦、粘着物質違反で退場処分を受けたが、その試合の直球の回転率2614から、復帰した3日のタイガース戦は2295まで下がり、直球の平均速度は92・7マイルしか出なかった。ベデューチ記者は21年6月、MLB機構が投手の粘着物質使用を厳しく検査するようになってから、シャーザーには特にスピン率が低い試合がいくつかあったとしている。

 もう一人はボーゲルバック。メッツ打線は左打者が活躍できておらず、今季の左打者の本塁打数は11本でMLBで22位タイ。長打率は・389で19位。DHの長打率も・363で23位である。ボーゲルバックは15四球で出塁率は・398と良いが、足が遅いからインパクトは限定的。ベテランがこのままでは若手に切り替えるなど他の選択肢も考えねばならないとしている。

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