西武・松井監督独占手記 3戦目での初勝利「勝つまでの時間は非常に長く感じた」

[ 2023年4月3日 05:30 ]

パ・リーグ   西武4-1オリックス ( 2023年4月2日    ベルーナD )

外崎からウイニングボールを笑顔で受け取る松井監督(撮影・白鳥 佳樹)
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 西武は2日、オリックスを4―1で下し、就任1年目の松井稼頭央監督(47)は3戦目で初勝利をつかんだ。8回に2軍監督時代から手塩にかけた鈴木将平外野手(24)が勝ち越し2点三塁打。9回は開幕戦で救援失敗していたドラフト4位新人の青山美夏人投手(22)に再び託し、悪い流れを断ち切った。「走魂」のチームスローガンを掲げ、4年ぶりのリーグ優勝へ駆け出した指揮官は、スポニチ本紙に独占手記を寄せた。

 初勝利を迎えられて本当にホッとした。現役時代にこれほどドキドキしたことはなかったです。開幕2連敗。勝つまでの時間は非常に長く感じた。ホーム3連戦で勝って、ファンの皆さまと一緒に喜びたいと思っていたので、本当に良かった。戦いは続くが、今日は余韻を味わいたい。

 9回は青山がよく締めてくれた。今日も勝っていたら抑えでいくと決めていた。「やり返してほしい」と思っていた中でルーキーながら、強い気持ちで期待に応えてくれた。本当にナイスボール。ここで耐えたことは自信になったと思う。

 思い返せば昨年の秋、球団に呼ばれると、部屋には渡辺GM、奥村球団社長、飯田本部長も待っていた。GMから「来月から監督を任せる」と伝えられ、最初に思ったのは「俺で大丈夫かな…」。でもすぐにライオンズのためにできることをやりたい、と思い直し、腹をくくって「頑張ります」と伝えました。

 18年限りで現役を引退し、19年に2軍監督に就任した際、ティーチングとコーチングの違い、コミュニケーションなどの座学を受けた。今まで野球界でやってきたスタイルとは違った取り組みで、最初は難しかった。言葉で伝えるのは本当に難しい。だから大切にしているのは選手との距離。時には遠くから見て、時には歩み寄る。正解があるようで、ない。多分、ずっと学び続けると思います。

 このチームには、まずベテランの栗山と中村がいる。2人はいろいろな経験をして、あそこまでの選手になった。それに続くのは、主将の源田、副主将の外崎、そして打線の軸である山川。このレギュラー3人は先頭に立って、やってほしい。若い選手がその姿を見ることで、相乗効果も出る。それが勝ち続けるチームだと思う。

 大切にしている時間があります。毎朝、向かうのはトレーニングルーム。ベルーナドームのデーゲームであれば朝の6時半ごろ。ビジターも含め、どの球場でもだいたい一番に球場に着きますね。トレーニングしながら、オーダーや相手のことを考える。時間がたつにつれて他のコーチも来るし、フランクに話せてリフレッシュもできる。2軍監督時代から続けています。

 大切にしている言葉があります。辻前監督が退任する際に「稼頭央は稼頭央でしかない。自分の色を出して思うようにやればいい」と言っていただき、凄く気持ちが楽になりました。僕は西武に入団して、投手力や隙のない走塁を軸に、1点でも少なく、打たれれば打線がカバーする野球を体感してきた。これは伝統。だからこそ、今季のスローガンは「走魂」。伝統を継承したいと思っています。

 座右の銘は現役時代から変わらない。「感謝」です。決して一人で野球はできない。これからも試練は多いと思うけど、チーム一丸で乗り切って優勝し、秋にファンの皆さんや支えてくれた方々に感謝を伝えたい。これで2023年のスタートが切れたので常に前向きに1年間、最後まで走り切ります。(西武ライオンズ監督)

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2023年4月3日のニュース