福島敦彦氏のセンバツ総評 3点差以内の接戦が25試合 高校生の成長力の凄さを感じた

[ 2023年4月3日 04:00 ]

福島敦彦氏

 山梨県勢の初優勝で幕を閉じた第95回選抜高校野球大会。大会期間中に「迫球甲子園」で試合に迫った福島敦彦氏が大会を総評した。優勝から一夜明けた2日は山梨学院が凱旋した。

 圧倒的な打力を持つチームがなく、ともに3得点以下で決着した試合が12試合。2桁得点は優勝した山梨学院が準々決勝の作新学院戦(12―3)で記録した1度だけ。想像以上に接戦が多く3点差以内の試合が実に25度を数えた。一冬越えた高校生の成長力の凄さを感じるとともに入場制限がなくなり、復活した声出し応援が球児へのさらなる力となったのだろう。

 山梨学院ナイン、本当におめでとう。全6試合に先発し、696球を投げ抜いたエース林君は真っすぐの球速は130キロ前後ながら変化球を含め徹底して低めに集めてゴロを打たせた。改めて制球力の必要性を感じさせる投球だった。

 準優勝した報徳学園は2度のタイブレークによるサヨナラ勝ちを含め劇的な勝利が印象に残った。5試合で3人の投手を先発させるなど大角監督の着実なチームづくりが一つの形となった。名門復活への足掛かりにしてほしい。ともに準決勝で敗退した大阪桐蔭、広陵はマークされる中、さすがの戦いぶり。頂点に届かなかった分、夏への期待は高まる。

 コロナ下だった昨年は大会直前に京都国際、大会中に広島商が辞退し本当に残念だった。今大会は辞退もなく36校が集い連日、好試合が展開された。球児の姿を見られたのは何よりもうれしかった。

 昨春は近江が滋賀県勢として初の決勝進出を果たし、夏は仙台育英が東北勢初の全国制覇。そして今春は山梨学院が新たな扉を開いた。高校球界に新しい流れができており、さらなる刺激が大きな流れを生むはず。夏、一段と成長した球児の姿が見られることを楽しみにしている。 (報徳学園、慶大、中山製鋼元監督)

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2023年4月3日のニュース