阪神・大山 BIGBOSS食い3発 6点差ミラクル逆転3連勝導いた「感謝を忘れず」勢い止めない

[ 2022年6月4日 05:30 ]

交流戦   阪神9ー7日本ハム ( 2022年6月3日    甲子園 )

<神・日>8回、大山はこの日3本目となるソロ本塁打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 阪神・大山悠輔内野手(27)が3日の日本ハム戦で4年ぶり2度目の1試合3本塁打を放ち、6点劣勢からの大逆転勝利を引き寄せた。今季最多の観衆4万2574人の前で今季3度目の3連勝。16年ぶりの甲子園“凱旋”だった日本ハム・新庄剛志監督(50)に猛虎の底力を見せつけた。 

 そのどれもが、打った瞬間にスタンドインを確信させた。球団では10年ブラゼル、日本人では09年金本知憲氏以来の甲子園での1試合3発。「今まで投手に負担をかけ、援護できていない部分があった。今日は野手がしっかり助けられた部分もある」。大山は少しだけ胸を張った。

 序章は0―3の2回だ。先頭で迎えた第1打席。「まずは出塁することを考えた」と無欲で上沢の初球を捉えた。10号は薄暮の空に美しい弧を描き、左中間席に着弾。反撃ののろしを上げると、1―7の4回1死の第2打席に再び初球を砕き、11号を中堅左へ。「浮いてきた球を一発で仕留められた」と自賛の一撃だった。

 仕上げは5―7の8回1死。「誰一人、諦めている選手はいなかった」。堀の内角直球を左翼席へ。佐藤輝と並ぶチーム最多12号で一挙4得点の口火を切り、勝利を呼んだ。交流戦は5本塁打の量産態勢。「たくさんの方の手助けがあっての結果。感謝を忘れずに、しっかり切り替えたい」。慢心はなく、視線は先を向いた。

 今回の日本ハム3連戦は「甲子園ヒーローズ」がキーワードだった。週頭の先月30日に新庄監督が高校時代に甲子園出場経験のある選手の積極起用を明言。この夜も浅間、万波、野村、清宮、松本剛…と過去に聖地を沸かせた面々が序盤から駆け回っていた。

 燃えないわけがなかった。つくば秀英時代に甲子園出場はない。夢の舞台で躍動する同世代を、羨望(せんぼう)のまなざしで見たこともあっただろう。今は違う。かつて目指したグラウンドが本拠地。虎の大黒柱として“我が家”で敵に好き勝手させるわけにはいかなかった。

 かつて猛虎の中心選手だった敵将との注目の激突。「新庄監督を意識しているのは(メディアの)皆さん。僕らは日本ハムと戦っている」。雑音に流されない強い精神力が生んだ快音でもあった。

 思えば開幕戦は8―1からひっくり返され、9連敗が始まった。1―7からの逆転勝利は、いまだ残る暗い幻影を振り払うのには十分だろう。悪夢には別れを告げた。あとはもう、前だけを見て進む。(八木 勇磨)

 ▼阪神・矢野監督 センター方向へ打ち出すと、いい状態だなという感じがある。(大山)悠輔らしい、高い放物線を描いた素晴らしい3発になった。(8回は)1点差になることで相手も余計にプレッシャーがかかったと思う。

 【データ】阪神は3回時点の1―7から9―7の逆転勝ち。6点差以上の逆転勝利は20年11月5日のヤクルト戦(甲子園)で2回の1―7から8―7の6点差逆転以来2年ぶり。また、阪神が借金10まで戻すのは5月1日に6連勝し、試合のなかった翌2日以来。

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