阪神・西純 プロ初完投で2勝目 打っては衝撃初アーチ 8番起用には「ビックリしました」

[ 2022年5月19日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8-1ヤクルト ( 2022年5月18日    神宮 )

<ヤ・神>2回2死一塁、西純は左越え2ランを放つ(投手・高橋)(撮影・大森 寛明)
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 虎の二刀流、ここに開花!阪神は18日のヤクルト戦で今季最多4本塁打が飛び出し、8―1で大勝した。8番で起用された西純矢投手(20)が、2回2死一塁から左翼中段へ特大のプロ初本塁打。高校通算25本塁打の長打力を見せつけると、投げても9回6安打1失点でプロ初完投勝利を飾った。今季2勝目。高卒3年目右腕が、今カードでの自力優勝消滅の危機を救った。 

 神宮に衝撃が走った。これが投手の弾道なのか――。左翼席中段への特大弾に、プロ初完投勝利。本家二刀流にも劣らぬ輝きを、西純が放った。

 「自分の中で目つけしているところにボールが来た。打った瞬間“あっ、いったわ”と。凄くうれしかったです」

 1点優勢の2回2死一塁。左腕・高橋の初球、内角真ん中にきた150キロを打者顔負けのフルスイングで、左翼席へ突き刺した。会心の感触とともにバットを高々と掲げ、野手ばりに放り投げた。

 「(8番起用を告げられたのは)練習の時ですね。ビックリしました」

 まぐれの一発ではない。創志学園時代はエース兼4番で通算25本塁打。3年時に出場したU―18W杯では本塁打王にも輝いた。プロ入り後も「バッティングは好きな方」で、自主練でバットを振り込む姿があった。今季も1軍昇格間際には「(打席に)立つのが楽しみ」と心待ちに。今季の過去2試合とも安打を記録し、高い打力を買われての8番起用に最高の形で応えた。球団で先発投手が9番以外の打順で本塁打を放つのは、いずれも8番だった58年の小山正明、大崎三男以来64年ぶりの快挙だった。

 本業の投球では初回2死二塁で4番・村上をスライダーで空振り三振。強打者を退け、直後の打席での快音につなげた。「フォークを意識しているので、スライダーが有効かなと。だいぶ1軍の環境に慣れてきて、自分の力を段々出せるようになってきている」。感情全開のプレーで注目を集めた高校時代さながらに自らを援護し、強力打線を無四球でねじ伏せた。

 最速152キロの直球も最後まで球威は衰え知らず。「最後、ここは全部出し切るしかない」。9回2死からは長岡を151キロで遊ゴロに仕留め、115球の力投でプロ初完投を達成した。

 独り舞台で、チームの今カードでの自力優勝消滅を阻止。試合後に20歳の右腕は「自分のできることを全力で取り組んでいったらいい結果になってくると思う」と投打に懸ける思いを明かした。トレードマークは笑顔。野球そのものを楽しむ姿は、少年時代からそのまま変わらない。(阪井 日向)

 ▼阪神・井上ヘッドコーチ(西純の8番)もともとバッティングが好きだし、たまにはそういう流れもいいのかなと思ってね。パカーンといってくれたのでズボっと当たったと思いますね。

 《8番・投手弾は球団64年ぶり》「8番投手」の西純(神)が2回にプロ初本塁打。阪神投手の本塁打は昨季4月16日ヤクルト戦の藤浪以来。「本塁打&完投勝利」は18年5月8日巨人戦で秋山が完封して以来になる。先発投手が9番以外の打順で本塁打を打つのは、58年5月17日大洋戦の小山正明、同25日国鉄戦の大崎三男がともに8番で放って以来、球団64年ぶり。

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2022年5月19日のニュース