ソフトB・藤本監督 地獄キャンプで野村に愛の389本ノック 課題克服に容赦なし「体力ある限りやる」

[ 2021年11月8日 05:30 ]

<ソフトバンク秋季キャンプ>特守で足がつった野村(右)を笑顔で見つめる藤本監督(撮影・岡田 丈靖)
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 期待込めた愛のムチだった。ソフトバンクの藤本博史監督(58)が7日、秋季宮崎キャンプで野村大樹内野手(21)に69分間に及ぶ個人ノックを行った。野村は勝負強いバッティングが売りの成長株。ウイークポイントである守備を鍛えるため、足がつるまで389本のノックを浴びせた。この日までの第1クールで最も目立った選手に野村の名前を挙げ、来季のブレークを願った。

 どちらかが倒れるまでやる、と公言していた地獄のノック。藤本監督は秘蔵っ子に69分間、ノックを浴びせ続けた。開始10本ほどで野村が「余裕っす。監督、バテましたか?もっときついのお願いします!」と声を上げると、藤本監督は「リチャードに勝てんぞ、こら!」と本気モードに突入した。

 左右に横っ跳びしてぎりぎり捕球できるところを狙ったゴロ、前にチャージしないと一塁送球が間に合わないボテボテのゴロ、強烈なライナーと多彩なノックで野村はグロッギー状態。左足がつったため、389本で特守は終了した。藤本監督は「泣きが入ったので向こうの負けです。でも、気持ちも球際も強くなる。どんどん体力がある限りやっていきたい」と笑った。

 野村は今季1軍で7試合出場し、3安打3打点。藤本監督は「勝負強さがある」と打撃を高評価している。先月29日の就任会見で期待する選手として名前を挙げ「ただ、守備を頑張らないと。今ならば4割くらい打たないと使うのが難しい」とも話していた。課題克服のために、就任後初の個人ノックの相手に指名。愛のムチを受けた野村は「想像以上の破壊力でした。課題の守備を、監督自らやってくれたのはうれしい。もっともっとやらないと」と光る汗を拭った。

 地獄のキャンプといえば79年秋に巨人・長嶋監督が中畑らを鍛えた伊東キャンプが有名だが、藤本監督は9日からの第2クール以降も若タカを厳しく鍛える方針だ。特に力を入れている右の強打者の育成。指揮官は野村、水谷、佐藤直、中谷らの名前を挙げて充実した第1クールを振り返り、「もっと練習して技術を上げてほしい」と期待を込めた。 (井上 満夫)

 ▽地獄の伊東キャンプ 巨人・長嶋監督がシーズン5位に終わった79年オフに「次代のリーダーをつくる」と静岡の伊東に期待する若手選手を集めて秋季キャンプを敢行。投手には1日平均10キロの走り込み、野手には1日1000スイング以上の打撃練習を課すなど、毎日約7時間、25日間行われた。長嶋監督自らノックで鍛え上げ、中畑=写真、江川、西本、松本匡らが主力選手へと成長した。

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