「おじいちゃんもお父さんも甲子園選手」 越境して夢を追う山梨学院・榎谷礼央

[ 2021年11月1日 13:31 ]

最速143キロの直球を軸に好投した榎谷礼央(撮影・柳内 遼平)
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第74回秋季高校野球関東大会は10月30日、ノーブルホームスタジアム水戸などで開幕した。2年ぶり11度目の出場となった山梨学院(山梨1位)は1回戦で拓大紅陵(千葉2位)に12―3で8回コールド勝ちし、センバツ出場当確に王手をかけた。エース右腕・榎谷礼央(れお)投手(2年)は3回途中から登板して好投を見せた。

 
 父の金言が心を強くする。2―0とリードを広げられた3回、2死満塁でエース・榎谷が登板。深くしなる右腕から繰り出した高め直球で空振り三振に斬った。ピンチでも力を発揮できる理由があった。

 「小さい時からお父さんには“マウンドではあせらず冷静に”と言われてきた。チームに流れを持ってこようと思って投げました」

 自己最速を2キロ更新する143キロを計測した直球を軸に5回1/3を3安打1失点の好投。スライダー、チェンジアップも低めに決まり5奪三振。守備からリズムをつくったチームは6回に一挙5得点で逆転。勢いは止まらず8回にも5得点でサヨナラコールドで試合を締めた。

 自慢の家族だ。祖父・鈴木詔彦(あきひこ)さん(78)、父・優史(まさし)さん(45)はともに浜松商(静岡)で甲子園に出場している。父・優史さんは93年春の甲子園に三塁手で出場し、3試合で打率・538の成績を残した。榎谷は「自慢の父でもありますし、親を超えたいという気持ちがある」と目を輝かせる。
 
 「祖父と父のように甲子園にいきたい」。強い思いが山梨への越境を決意させた。中3の夏に父と山梨大会を観戦。山梨学院の戦いぶりを目に焼き付け「お父さん、ここに行きたい」と言った。

 4強入りで来春センバツ出場が当確となる関東大会。実家のある静岡県浜松市から初戦に駆けつけた父は「どうしてもあと1つ気合いで勝ってほしい」と願った。28年前に父が踏みしめた聖地への切符を懸けた2日の白鴎大足利(栃木)戦に「目の前の1勝を勝ち取りたいです」と榎谷。3世代で甲子園出場の偉業達成へ力を込めた。(柳内 遼平)

 ◇榎谷 礼央(えのきや・れお)2004年7月7日生まれ、静岡県浜松市出身の17歳。小2で野球を始め、江西中では浜松シニアでプレー。山梨学院では1年夏の山梨大会に背番号20でベンチ入り。2年春から背番号1。50メートル走6秒0。遠投110メートル。1メートル79、75キロ。

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