2年ぶり!甲子園を目指す熱い夏が戻ってきた 札幌工、全国一番星 南北海道から地方大会開幕

[ 2021年6月27日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権南北海道大会札幌地区1回戦   札幌工15―1北広島西 ( 2021年6月26日    札幌円山 )

<札幌工対北広島>5回コールド勝利した札幌工(撮影・高橋 茂夫)
Photo By スポニチ

 熱い夏が2年ぶりに戻ってきた。第103回全国高校野球選手権(8月9日から17日間、甲子園)の出場校を決める地方大会は26日、全国のトップを切って南北海道で開幕。札幌、室蘭地区で5試合が行われた。札幌地区の開幕試合では札幌工が15―1で北広島西を破り、夏の全国一番星。順調に日程を消化すれば、7月18日に沖縄で最初の代表が決まり、8月2日に全代表校が出そろう。

 澄み切った北の大地の空から太陽の光が降り注ぐ。プレーのたびに上がる土煙。大声援の代わりに太鼓とメガホンを叩く音が、札幌円山球場に戻ってきた。全国で真っ先に夏の大会のグラウンドに立った球児たち。札幌工のエース伊藤起壱(きいち=3年)は、とびきりの笑顔だった。

 「いい投球をする度にメガホンの音が聞こえ、気持ち良かった」 コロナ禍で昨年は、センバツに続き夏の甲子園も中止。代替試合などとして開催された夏の試合は、聖地にはつながっていなかった。2年分の思いを胸に伊藤は「今年は甲子園に行く気持ちで投げられた」と投打で躍動。先発して3回を3安打1失点、4回には大会1号となる右越えランニング本塁打を放ち、9安打15得点の快勝を導いた。

 北海道は20日まで緊急事態宣言が出ていた。練習試合は4月中旬以降実施できず。対外試合は5月11日の春季札幌支部予選以来46日ぶりだった。「試合ができる喜びをかみ締めよう」と送り出した佐藤友貴監督(45)は「思い切ってやってくれた」とこの夏、全国で最初に勝利の校歌を響かせたナインを称えた。

 室蘭地区も含めて有観客で開幕。一般客の入場は19年秋以来だったが、まだ通常の夏の光景には至らない。入場者には、住所氏名などを記入した「入場カード」提出や、チケット半券に座席番号を記入し2週間保管するルールが定められた。検温や一席おきの座席など、感染防止対策も徹底。それでも、午前4時に一番乗りで札幌円山の入場の列に並んだ川崎政男さん(80)は「去年は具合が悪くなるくらい寂しかった」と久々の高校野球観戦に声を弾ませた。

 球児のみならず、ファンも待ち望んだ夏の開幕。伊藤の「久しぶりの試合で緊張したが、凄く気持ちがよかった」という言葉が全てを物語っていた。(石川 加奈子)

 ▼札幌工・今川騎(ないと=3年。兄の日本ハム・優馬から「最後まで全力で楽しんでやれ!」と激励を受け1安打)あと2つ勝って札工の歴史を変えたい。

 【今大会主な開催方法】
 ☆無観客開催 全国で唯一、緊急事態宣言が出されている沖縄では、7月3日の開幕日から完全無観客で開催。宣言解除後の対応は、感染状況を見て判断される。埼玉大会では3回戦以降が有観客開催となり、チケットは前売り販売。

 ☆会場変更 東京五輪が開催される首都圏では、決勝の会場が変更となる。例年、神宮球場を使用していた東西東京大会は、8月2日に東京ドームで初開催。神奈川大会は横浜スタジアムではなく、サーティーフォー保土ケ谷球場で行われる。

 ☆シード制導入 7月16日に開幕する大阪大会では初めてシード制を導入。これまでは全国49大会で唯一、公平性を保つために導入していなかったが、実力差が顕著なケースの選手の危険防止などのために取り入れた。今春の府大会で16強入りしたチームが獲得し、2回戦から登場。

続きを表示

2021年6月27日のニュース