異次元の快足 日本ハム・五十幡に栗山監督も“漫画を超え”を期待

[ 2021年6月3日 09:00 ]

異次元の快速を武器にする日本ハムドラフト2位・五十幡
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 よく現実離れしたプレーは「漫画のような」などと表現される。ただ、「事実は小説より奇なり」。リアル二刀流、三刀流、16年7月3日のソフトバンク戦で「1番・投手」での初回初球本塁打など、様々な伝説をつくってきたエンゼルス・大谷は、漫画の世界でもやり過ぎなくらいの連日の活躍ぶりだ。

 日本ハム時代の恩師の栗山監督は「翔平が“1番・ピッチャー大谷”で(初回の)1球目をホームラン打つって小説にしたらできすぎで怒られるよね。でも事実はそれを超えることがあると思っている。漫画も超えちゃうというか」と振り返る。

 栗山監督が大谷のように漫画や小説を超える存在として期待するのが、異次元の快速を武器にするドラフト2位・五十幡だ。指揮官の好きな人気野球漫画「ドカベン」を例に挙げ「そのタイプ(俊足)の選手だけが、ドカベンにもいなかった超漫画的なやつなんだよ。ドカベンの中に殿馬(一人)とか、里中(智)とか、山田(太郎)とか、相手チームの土門(剛介)でも何でも凄いやついっぱいいるけど、ずっと長く足だけで勝負できた人ってあんまりいない。相手に超足が速いって選手が何人か出てきているけど、それが大きなテーマとして主役になっていくっていう感じじゃなかったんだよね」と熱っぽく語る。

 確かに五十幡は走れば漫画のぐるぐる足のような高速回転でダイヤモンドを駆け回る。甲斐キャノンことソフトバンク・甲斐との初対戦で二盗を決めるなど、今後数々の名勝負が生まれそうな予感も漂う。指揮官が「リニア」や「弾丸」と名付ける理由もよく分かる。今ではファンが最も期待する若手選手の一人だろう。

 指揮官が姿を重ねるのがシーズン106盗塁などのNPB記録を持つ福本豊氏だ。それを受け、五十幡も「福本さんの記録というのは絶対に不可能じゃないかと言われているかと思うけど、不可能を可能にすることが、野球界を変えていける」と意欲的に話す。漫画をも超越する選手。1メートル71の小さな体には無限の可能性が詰まっている。(記者コラム・東尾 洋樹)

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