大学野球にもリアル二刀流!日体大・矢沢は“ネクスト大谷” 小柄1メートル73もでっかい可能性

[ 2021年5月18日 05:30 ]

日体大・矢沢(撮影・柳内 遼平)
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 二刀流のエンゼルス・大谷がメジャーを席巻する中、日本の大学球界にも新星が現れた。首都大学リーグの日体大・矢沢宏太投手(3年)は、今春にリアル二刀流デビュー。投げては最速149キロ左腕としてエース、打っては4番に座り来秋のドラフト候補として注目を集めている。第2の大谷は誕生するのか。矢沢の現在地に迫った。

 二刀流の剣豪・宮本武蔵の著作といわれる五輪書には「身に佩(お)びた武具を一つ残らず役立てたいものだ」とある。野球で言えば投と打。大学球界にその言葉を体現する二刀流が現れた。

 矢沢は投手と外野手を兼任する二刀流。左投げ左打ちの3年生は、昨年4人のプロ野球選手を輩出したハイレベルな首都リーグで異例の挑戦を続けている。「(二刀流は)小さい頃からやってきた野球。三振を奪うことにこだわっているし、やっぱりホームランはいい。楽しむ余裕はないけど、勝ったときはうれしいです」

 1メートル73ながら、屈指の身体能力を持つ。投げれば最速149キロ、走れば50メートル5秒8の俊足。今春からエースと4番を兼務し、4月25日の帝京大戦はリーグ戦初のサヨナラ本塁打。1日の筑波大戦は今秋のドラフト上位候補の最速151キロ左腕・佐藤隼輔投手(4年)から2安打を放ち、リーグ戦初完封勝利を挙げた。15日の桜美林大戦は6回まで無安打投球を展開し、2失点完投勝利を挙げた。同リーグはDH制を採用しているが、矢沢の登板時は解除。ア・リーグでDH制を解除するエンゼルス・大谷と同じリアル二刀流である。

 古城隆利監督が高校通算32本塁打を誇る快速サウスポーの存在を知ったのは、藤嶺藤沢で教育実習を行った同大OBの紹介からだった。「凄いのがいると聞いた。視察に行ってプロじゃなかったらうちに来るとなった。凄かったので半分諦めていました」。プロ志望届を提出するも指名漏れし、進学してきた矢沢に「可能性を一つに絞るのは良くない」と二兎(にと)を追わせた。

 先にリーグ戦デビューした野手として、1年時には大学日本代表選考合宿に参加。50メートル走は日本ハム・五十幡、ヤクルト・並木に続く3番目のタイムを叩き出した。昨秋、外野手でベストナインに選出されるなどまずは打者として起用。制球力が向上し、今春から二刀流を解禁した。矢沢の可能性について古城監督は野手では「(楽天の)辰己君にかぶる」と評し、辻孟彦コーチは「野手としては1軍で安定した活躍が期待でき、投手はダメになることもあれば、球界を代表する投手になる可能性もある」とした。

 矢沢は二刀流の教科書ともいえるエンゼルス・大谷を動画で研究。「投球と打撃をしっかり分けている」とお手本にしている。将来像も揺るぎはない。「投手と野手のどちらもプロのレベルに行きたい」。大谷に一番、近い男としての挑戦は始まったばかりだ。(柳内 遼平)

 ◆矢沢 宏太(やざわ・こうた)2000年(平12)8月2日生まれ、東京都町田市出身の20歳。藤嶺藤沢(神奈川)では1年秋から背番号1で通算32本塁打。甲子園出場なし。日体大では1年春から外野手で出場し、1年秋から投手として登板。憧れの選手は楽天・辰己と中日・大野雄。1メートル73、69キロ。左投げ左打ち。

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