【スポニチ潜入 大阪発(10)】報徳学園・久野 大きな伸びしろ秘める大型左腕 フォーム改善で急成長

[ 2021年5月18日 09:00 ]

報徳学園・久野悠斗
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 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」でアマチュア野球の有力選手(高校、大学、社会人)を記事と動画で紹介します。大阪本社では「スポニチ潜入 大阪発」と題し、エリア内の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube公式「スポニチチャンネル」において取り上げます。第10回は報徳学園の最速143キロ左腕・久野悠斗投手(17)です。

 兵庫の名門・報徳学園に、今年もスケールの大きな左腕がいる。まだ発展途上ながら、現時点ですでに最速143キロの直球を投げ込む久野だ。

 1メートル86、85キロの大型本格派左腕。この情報だけでも、ロマンがあふれる。キビキビしたフォームから投じるボールは切れ味抜群。現時点でも甲子園のマウンドに立てば、注目を集めることは間違いない。エースとして臨んだ2年秋は、兵庫県大会2回戦で神戸弘陵に2―3で敗戦。選抜出場の可能性を絶たれたが、実力は兵庫県内、いや近畿地区屈指だ。それは今春、すでに証明済みでもある。

 全国レベルの強豪相手に好投し、自信を深めた。3月には選抜出場直前の仙台育英、大阪桐蔭との練習試合に登板。強力打線を武器に選抜でも8強入りした仙台育英戦では6回から中継ぎ登板し、4回1安打無失点と圧倒した。大阪桐蔭戦でも先発して6回無失点と実力を発揮。特に昨年秋の練習試合で5回5失点と打ち込まれた大阪桐蔭を抑え、自らの成長を実感。「練習試合とはいえ自信につながっています。特に大阪桐蔭戦はコントロールがよくなったのが大きいかなと思います」と自己分析する。

 制球力向上の要因はフォームの改善だ。2年秋までは久野いわく「体が硬かったので、フォームに悪いクセが多くて、グチャグチャでした。今、見ても2年秋までのフォームは嫌ですね」。柔軟性を上げるためにストレッチなどに力を入れてきたが、加えて昨年12月から着手した新たな取り組みが大きかった。体の可動域を広げる目的で初動負荷トレーニングを採り入れてみると、フォームが劇的に改善。「少し落ち着いてきたと思います。本当に変わりました。1年前の自分とは全然、違います」。スムーズなフォームとともに切れ味鋭い球質、確かな制球力も手に入れた。

 高校入学時は体重75キロと細く、直球の最速も132キロだった。そこから体重を10キロ増量し、直球の最速も11キロアップ。今ではデッドリフト200キロを持ち上げ、スイングスピードも130キロ前後を計測する。フィジカル面にも気を配り、体脂肪率は常に20%前後を維持。体脂肪は一概に減らせばいいというものではなく、先発投手にとってはスタミナ源となるからだ。「マウンドは譲りたくない」。先発完投を見据えるからこその「20%」だ。

 最も自信のある球は直球。そこにカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップを織り交ぜ、配球を組み立てる。目標は「チームとして、夏に日本一になること」。そして最終的な個人目標は「両親のためにもプロには絶対に行きたい」と言葉に力を込める家族思いの孝行息子。4月18日の春季兵庫大会1回戦を3球団が視察するなど、プロからの注目度も高い。まずは今夏、甲子園で輝いてみせる。(文=惟任 貴信、動画撮影=平嶋 理子、惟任 貴信)

 ◇久野 悠斗(ひさの・ゆうと)2003年(平15)10月7日、兵庫県赤穂市出身。御崎小2年から「御崎野球少年団」で野球を始め、4年時から投手。赤穂東中では「佐用スターズ」に所属し、エースとして3年春に全国8強。報徳学園では1年秋から背番号10でベンチ入りし、2年秋から背番号1。50メートル走6秒2、遠投110メートル。1メートル86、85キロ。左投げ左打ち。

 ※報徳学園・久野選手の動画は「スポニチチャンネル」において配信中です。

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