揚塩球団社長引責辞任の阪神 藤原オーナーの社長兼任案浮上 実現すれば球団創設85周年で初

[ 2020年10月10日 05:30 ]

<阪神秋季キャンプ>安芸キャンプの早出特守を視察した際の藤原祟起オーナー。右は熊谷敬宥内野手
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 阪神の揚塩健治球団社長(60)が9日、11月末での辞任を発表した。兵庫県西宮市内の球団事務所で会見し、3月に続いて9月にもチーム内で新型コロナウイルス感染者が相次いで出た責任を取り、陳謝した。12月1日までに決定される後任には藤原崇起オーナー(68=電鉄本社会長)が兼務する案が浮上。実現すれば球団初となる体制で難局を乗り切る可能性が出てきた。 

 電撃的な辞任発表だった。午前10時過ぎ、球団事務所で球団取締役会が開かれ、揚塩球団社長が辞意を伝えたとみられる。意向を事前に知らなかった役員も多く、球団内は慌ただしく動きだした。午後3時からの緊急会見で同社長は一連のコロナ騒動について謝罪し、11月末での辞任を発表した。

 「今回2度にわたって球界全体にご迷惑をかけた事実は否めません。着任以来、いろいろな混乱を招いた球団内の最終的な責任者は私。私の一存ではございますが、今シーズン終了をもって社長を辞することをオーナーに申し入れ、承諾をいただきました」

 3月末に藤浪、伊藤隼、長坂のコロナ感染が判明した際には自ら会見を開いて謝罪と再発防止を約束。ところが9月25日に再び糸原、岩貞、陽川、馬場、浜地の5選手とスタッフ2人の計7人、後日判明のスタッフ2人を合わせて計9人の感染者を出した。濃厚接触者、その疑いがある者を含め計11選手が入院や隔離される事態となり、球団の管理責任を問う声も浮上。引責辞任という決断を下した。

 「一日も早い混乱の沈静を願い、このような発表をさせていただくことにいたしました。チームは戦っている最中ではございますが、私なりのけじめのつけ方としてご理解いただければと思います」

 電撃辞任を受けて阪神電鉄本社では次期社長の人選作業を開始した。藤原オーナーは「12月1日までには決めますけど、今から考えます」と説明。球団本部長を兼務する谷本修球団副社長、阪神電鉄の百北幸司常務取締役らが後任候補に挙がる一方、藤原オーナーが球団社長を兼務する案も浮上した。

 同オーナーは「いろんな条件を今から自分なりに洗い直すということになってきます。いろんな役割やら、なんやらも当然ある。コロナがどこまで続くんだとというふうないろんな状況もあります。そういうことを総合的に考えながらやっていきたい」と危機感を強調。緊急事態を鑑みて、自らが危機に立ち向かう可能性もある。

 球界では広島の松田元オーナーが球団社長を兼務。球界全体を見渡しても兼務は異例といえる。実現すれば創設85周年の球団で初めて。難局を乗り切るためにも早期の新体制移行が求められる。

 《広島・松田オーナーが唯一兼任》現在の12球団でオーナーが社長を兼任しているのは広島だけ。現球団オーナー兼社長の松田元氏は02年7月に先代オーナー兼社長で父・耕平氏の死去に伴い、球団常務オーナー代行から同職に就任した。

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