ダルビッシュ サイ・ヤング賞なるか 海を渡り9年目、日本人初の偉業へ

[ 2020年9月4日 06:00 ]

自身初の月間MVPに選出されたダルビッシュ(AP)
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 大リーグ機構は2日(日本時間3日)、8月(7月を含む)の月間MVPを発表し、ナ・リーグの投手部門でカブスのダルビッシュ有投手(34)が初受賞した。7試合に投げ6勝、防御率1・47はいずれもリーグトップ。日本投手では14年5月のヤンキースの田中将大投手(31)以来4人目で6度目の受賞となった。投手最高の栄誉であるサイ・ヤング賞の日本勢初受賞なるか、その可能性を探る。

 「Cy Yu(サイ ユー)」。米NBCスポーツ・シカゴのティム・ステビンズ記者は自身の記事でダルビッシュに敬意を表し、こう名付けた。投手最高の栄誉である「Cy Young Award(サイ・ヤング賞)」にかけた言葉だ。

 6試合連続勝利で8月を終えたダルビッシュが7、8月の月間MVPに輝いた。自身のSNSで「ピンチもありましたが、冷静に組み立てられ、味方にも助けられてこその結果だと思います」と謙虚に記したが、ここまで7試合に投げリーグトップの6勝、防御率1・47。日本勢初の快挙を視界に捉えている。

 サイ・ヤング賞受賞の鍵を近年の傾向から見る。メッツのデグロムは18年10勝、19年11勝ながら、2年連続で受賞した。近年の傾向として、勝利数よりも防御率、さらに投球内容も問われる。その内容の「質」を示す指標が、1イニング当たりに出した走者数を表す「WHIP」と、制球力と奪三振能力を示す「K/BB」だ。デグロムはいずれも上位であったことが評価された。ダルビッシュは「WHIP」1・00はリーグ8位、「K/BB」6・50も同2位と高い数値を叩き出している。

 ナ・リーグのライバル投手はここにきて乱調気味で、最大のライバルは無傷の6勝を誇るブレーブスの左腕フリードとなる。ダルビッシュはSNSで「また今月も一球一球に集中していきます」と決意を示した。60試合制の特別なシーズン。残りの登板は5、6試合だろう。全ての試合が重要になる。 (柳原 直之)

 ▽サイ・ヤング賞 大リーグ歴代1位の通算511勝を挙げたサイ・ヤングの功績を称えて創設。記者投票により、救援を含む年間最優秀投手を選出する。第1回は1956年で当初は1人だったが、67年以降はア、ナ両リーグから1人ずつ選出する。ヤンキースなどで活躍したロジャー・クレメンスが最多で7度受賞。日本投手では、13年の投票で当時レンジャーズのダルビッシュが2位、マリナーズの岩隈(現巨人)が3位だった。

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