“鯉のドクターK”広島・島内 圧巻の5者連続三振 リーグトップの奪三振率 あるぞ勝利の方程式入り

[ 2020年8月12日 05:30 ]

セ・リーグ   広島1-8中日 ( 2020年8月11日    マツダ )

<広・中(11)>6回から3番手で登板の島内 (撮影・奥 調)
Photo By スポニチ

 広島は、11日の中日戦で1―8と完敗した中、3番手で登板した島内颯太郎投手(23)が2回無安打5奪三振と光った。これで7試合連続での無安打無失点となり、奪三振率14・44は、今季10試合以上登板した投手ではリーグトップ。直球自慢の大卒2年目右腕が「勝ちパターン」入りへ評価を上げている。 

 面白いように三振を奪う。1―4の6回から登板した島内は、淡々とした表情とは裏腹に、打者6人に5奪三振と圧倒した。1イニング目の6回に福田をフォークで空振り三振、福谷は直球で見逃し三振。上位打線を迎えた7回も、京田、根尾、阿部を3者連続三振と寄せ付けず、2イニングで5者連続となった。「直球と変化球を同じ感覚で投げられた。一人一人に自分の球を投げようと思った」。最速152キロの直球と130キロ台後半のフォークを軸に手玉に取った。

 奪三振率14・44は、今季10試合以上登板した投手では、リーグトップと驚異的だ。全て救援登板の今季11試合で、2奪三振以上が8試合。失点したのは、6失点(自責5)した7月15日の巨人戦のみと安定感も出てきた。

 開幕1軍を逃し、投手の強化指定部門として新設された「2・5軍」で指導を受けた。「(球の回転軸などを計る)ラプソードを使って、データと照らし合わせながらできたのが良かった」。この新たな視点が生きた裏には、父親と二人三脚で築き上げた土台がある。父・賢二さんは、投手として社会人野球を経験し、ダイエーのプロテストを受けたこともある実力者。学生時代は、連日ふたりで投球映像を見ながら議論を交わすほど、父の視点を頼りに投球フォームを作り上げてきた。

 そんな父親との師弟関係は、今も変わらない。大卒1年目の昨季は、25試合に登板するも1、2軍を行き来する悩める日々。自ら撮影したシャドーピッチングの動画を父に送って意見を求めた。

 「父は、学生時代からずっと見てくれているので、どこかがおかしい…となればすぐに気付いてくれる。2人になれば野球の話ばかり。僕は、父から野球を教わりました」

 劣勢での登板が続く中、佐々岡監督は「いろいろと試してみたい」と“勝ちパターン入り”も視野に入れるほど評価は高まっている。「だんだんといい場面で投げさせてもらっている。勝ちの展開で投げられるようにしたい」。三振を奪い続ける姿は、緊迫した終盤戦でこそ映える。 (河合 洋介)

 【島内颯太郎 こんな人】
 ★生まれとサイズ 1996年(平8)10月14日生まれ、福岡県出身。1メートル80、83キロ。右投げ右打ち。
 ★球歴 小3で野球を始め、光陵では2年夏からエースも甲子園出場なし。九州共立大では、3年秋に3勝でリーグ優勝に貢献してMVPに輝き、4年秋にはベストナイン。
 ★人見知り 本人も認める極度の人見知り。昨年選出された「フレッシュオールスター」では、「知り合いがほとんどいないんですよ…。大丈夫かな」と、結果よりもなじめるかが不安だった。
 ★ライバル 大学4年秋の明治神宮大会。初戦の立正大戦に先発するも、現DeNAで同学年の伊藤裕に決勝2ランを献上して敗退。「いつか1軍でリベンジしたい」と再戦の機会を待つ。

続きを表示

2020年8月12日のニュース