イチロー氏 素早い指導資格回復のワケ…自身の“財産”直接伝えることの大事さ痛感

[ 2020年2月8日 07:00 ]

昨年12月、学生野球資格回復制度の研修会を受講したイチロー氏
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 日本学生野球協会は7日、東京都内で資格審査委員会を開き、オリックス、マリナーズなどで活躍したイチロー氏(46)の資格回復も認定され、高校、大学の指導資格を得た。メジャー時代の「イチロー番」である笹田幸嗣通信員がその背景を分析した。

 世界最高峰のメジャーリーグで史上24位の3089安打を放った男のプライド。それは日本で培った高い技術と、野球を考える力にある。この両輪こそが米球界での成功を支えたと自負する背番号51は今、日本の次世代を担う若者に自身の財産をシェアすることが使命だと真剣に考えている。

 だからこそ、彼は素早く資格取得に走った。「特定の学校に常勤しなければ、いろんなところで“お願いします”と言われれば、どこにでも行くことができる」。専属ではなく無所属で幅広く伝達することが可能性を広げる。根底にある彼の思いだ。

 昨今のメジャーについて、イチロー氏は「野球を知らない人が操るコンピューターに選手が支配されてしまっている」と嘆く。選手たちが世界最高の技術を持ちながら、編成担当者は野球の機微を選手から奪っている。データ通りのアプローチを指示、命令し、逆らう者は居場所を失う現状がある。

 日本球界にはそんなつまらない、味気ない形になってほしくない。長い歴史をかけて培ってきた技術と、考える力を大事にしてほしい。それを、自身の言葉で直接伝えることが大切だと感じている。

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2020年2月8日のニュース