東邦 森田監督、有言実行だったセンバツV「一番大事なのは選手が自立すること」

[ 2019年11月29日 09:26 ]

駒大野球部後援会 総会&懇親会 甲子園V監督トークショー ( 2019年11月28日 )

<東邦・習志野>胴上げされる森田監督(撮影・成瀬 徹) 
Photo By スポニチ

 駒大野球部後援会の総会&懇親会が28日夜、都内のホテルで開催された。総会が終わると「野球部OBには甲子園で優勝した監督が3人もいるから話してもらおう」と野球部OB会の中畑清会長(スポニチ本紙評論家)の発案で、96年夏の甲子園、熊本工を延長戦の末下した松山商の沢田勝彦監督(62=現北条監督)、今年の選抜大会で平成最後の大会を締めくくった東邦・森田泰弘監督(60)、04、05年の夏の甲子園を制し田中将大(ヤンキース)を育てた駒大苫小牧の香田誉士史(よしふみ)監督(48=現西部ガス監督)の名将OB3人がステージに上がった。

 今春のセンバツを制した東邦の森田監督は生死の境をさまよった末の優勝だった。すでに公になっているが、腎臓を悪くし透析、そして腎不全を発症。昨年12月17日、親族の腎臓を移植した。長い入院生活を経て今年2月1日にグラウンドに顔を出したが、再び体調を崩すなどセンバツ大会どころではなかった。

 コーチの元で汗を流す選手たちが「監督が戻ったら“うまくなったなあ”と言われようと頑張っていると聞いたんです。このとき監督はいらんなあ、そんなチームになったのか」と感動したという。

 甲子園に出場するときは、必ずどこかに不安があったという。だが今年のチームに不安はなかった。「だから市役所や県庁にあいさつにいった際、必ず優勝します」と公言していた。自宅に預かり育てたエースで4番の石川昂弥(中日ドラフト1位)を中心に有言実行で頂点に立った。太田元監督が「優勝したのが4月3日、そして翌日が森田の60歳の誕生日。こんな劇的なことはないぞ!」と苦労を知る恩師はそう言って教え子を褒めた。

 来年3月で監督を勇退する森田氏。「振り返ると、一番大事なのは選手が自立すること。自分で考え自分で行動することです」と最後を締めた。中畑会長の号令で、会場の一番前に陣取り“体育座り”で聞いていた現役部員の心にも響いたはずだ。

 予定の1時間を軽く30分オーバーしたトークショー。「もっと聞きたかった」との声が上がるほど中畑会長の絶妙な司会ぶりと名将たちの苦労、体験談。これも神宮501勝、35年間も駒大を率いて教え子を鍛えた太田元監督の存在が大きい。今でも名将たちも含めOBが太田元監督の前では直立不動なのがいい。

 チームは今季東都1部で春、秋とも最下位、入替え戦で残留を決めた。偉大なOBたちの激励も含めた講演で来季の駒大は一皮むけそうだ。

続きを表示

この記事のフォト

2019年11月29日のニュース