ホークスファンの聖地「奇跡の鳥居」が復活!18年前の“ご利益”を再び

[ 2017年10月3日 12:27 ]

ホークスファンの新たな聖地となりそうな奇跡の鳥居
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 1999年9月に福岡ダイエー(現ソフトバンク)の初優勝を祈願して福岡市東区に設置された夢神社の「奇跡の鳥居」が、9月5日に福岡県みやま市瀬高町の長田鉱泉場近くに復建された。移設11日後に、ソフトバンクがパ・リーグ最速優勝を決めて、再びの「奇跡」を演出。2軍施設「HAWKSベースボールパーク筑後」からも約1・5キロと近く、ファンにとっての新たな聖地、名所となりそうだ。(東山 貴実)

 「奇跡の鳥居」は18年前同様に御利益をもたらした。2年ぶりの優勝をリーグ史上最速で決めた9月16日。「誰よりもどこよりも早くビールかけをしたかった。リーグ最速という奇跡。この鳥居が次は日本一に導いてくれることは間違いなし」と、新「奇跡の鳥居」の前で長田鉱泉の炭酸水をかけ合ってずぶ濡れで狂喜する約30人のファンの姿があった。

 「奇跡の鳥居」――。ホークスファンには懐かしい響きだ。99年9月。福岡市東区のボランティア団体「夢サークル」がホークスの優勝を祈願して制作し、JR香椎駅前に設置された。「夢」の文字が掲げられた金属製の鳥居は、高さ2・4メートル、幅1・8メートルで真っ赤に色塗られた。当時は王貞治監督の下、工藤公康、秋山幸二ら投打の主軸がチームをけん引。鳥居には連日、ファンが参拝に押し寄せた。同年、チームは89年の福岡移転後11年目で悲願のリーグ優勝と日本一を達成。福岡の球団としても西鉄以来、36年ぶりの優勝だった。翌年も“再建”すると、リーグ連覇を達成。その後は常設となり、ホークスの優勝祈願だけではなく、商売繁盛や受験の合格祈願としても名所となった。

 しかし、駅前再開発に伴い撤去となり、08年には「勝馬(かつま)」との地名の集落がある志賀島に移設。さらに11年の東日本大震災以降は開幕前恒例だった必勝祈願も実施されることがなくなり、潮風にさらされた鉄製の鳥居はさび付き、塗装や文字もはがれかかったままで、ひっそりとたたずんでいた。

 その中で「夢サークル」の吉水恵介代表が今年4月に譲渡を呼び掛けた。それに即座に反応したのが、ダイエー時代からのホークスファンで、みやま市で車販売業を営む今村広治氏(42)だった。志賀島で現地視察し、4月12日には知人が所有するクレーン車で引き取りに出向き、譲渡式が行われた。大変だったのはそれから。修復作業に向けて、鉄工所や板金店で働く知人らボランティア有志5人で「美鷹(みたか)会」を結成。今村氏は代表に就任した。しかし、劣化が激しく、さび取りに始まり、塗装、補強と作業は困難を極めた。「正直、新しく作り直した方が安上がりだったかもしれません。(修復費は)軽く100万円は超えましたね」。色は赤からホークスカラーの黄と白色に。最後にさび止めに車の塗料でガラスコーティングし、4カ月に及んだ作業を終えて「奇跡の鳥居」は復活を遂げた。

 当初、設置場所はタマスタ筑後などが候補に挙がったが、みやま市在住の今村代表が「せっかくなら地元に。そして“奇跡”つながりということで長田鉱泉場になりました」。長田鉱泉場は120年余りの歴史を持つ新船小屋温泉の飲泉場で、炭酸含有日本一。飲むと胃腸炎などに効くとされ、「奇跡の泉」と称される。

 「自分はマッチ(松田)の大ファン。“熱い”ですもんね。私も“熱さ”で鳥居を作り上げた。選手の方にも1回でいいので、参拝に来てもらいたいですね。そして、ホークスファンの新たな聖地になれば、作ったかいがあるというものです」

 そう話した今村代表。今後はポストシーズンでのPV(パブリックビューイング)の実施、来シーズン開幕前の必勝祈願などを計画している。

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2017年10月3日のニュース