阪神・秋山7年ぶり完投!背水8年目 キャンプで酔客に「中日の選手?」

[ 2017年5月17日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8―1中日 ( 2017年5月16日    甲子園 )

秋山は完投勝ちし梅野(右)と喜び合う
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 メッセンジャーでも藤浪でもない。今季の猛虎初完投を果たしたのは秋山だった。5回まで毎回走者を許しながら、1失点にしのぎ、130球で9回を見事に投げ抜き、3勝目を挙げた。

 「8回が終わって監督から“いきたいか”と聞かれて、そういう選択をもらえたのがうれしい」

 自己最多12奪三振のうち実に11個を直球で奪った。こだわり続ける“宝刀”で打者を制圧した。昨秋、右打者の内角に食い込むシュートを覚えて飛躍のきっかけをつかんだ。新球を覚えたことで、より一層強くなったのは直球への思いだった。

 「シュート、シュートと言われますが、今はあんまり投げていないんですよね。今は直球があるんで。直球より球速が遅い球で打たれたくないと思ってるんです。直球に自信を持てていることが一番なんです」

 プロ8年目。「今年ダメだったら、もうチャンスは絶対にない」と強い決意で臨んだ春季キャンプで奮起を期す“屈辱”を味わった。日本ハム戦(名護)で4回無失点の好投でローテーション入りへ前進した2月25日の夜。沖縄・読谷村のもつ鍋屋で隣の酔客に突然、声をかけられた。

 「君、体でかいから絶対に野球選手やろ?でも、ごめん、分からんわ。この辺でキャンプしてるなら、中日の選手か?」

 突然の“絡み”に苦笑いを浮かべながらも、力強くこう答えたという。

 「阪神の秋山拓巳という投手です!今年、見ていてください!」

 完投勝利は高卒新人だった10年9月12日のヤクルト戦(甲子園)以来、2438日ぶり。セ・リーグ5球団で唯一未勝利だった中日から白星を奪い、“セ界制覇”も決めた。沖縄の夜の誓いを結果で示した快投劇だった。

 週の最初の火曜日。救援陣を休ませ、金本監督からも「ほとんど試合を壊してない。先発の役割を十二分に果たしてくれて」と“エース級”の賛辞をもらった。「週頭を一人で投げ抜けた。今回は役目を果たせたと思う。変な欲は出さずに打たせて取るタイプなので」。飛躍を遂げても足元を見失わず、次のマウンドを見据えた。(遠藤 礼)

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