楽天の精密機械「岸先生」プロの制球見せた 見学の新人びっくり

[ 2017年2月6日 05:30 ]

ブルペンでの岸のピッチングをじっと見つめる新人選手たち(左から)森原、池田、菅原、藤平
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 「岸先生」が新人にお手本を示した。楽天・岸が久米島キャンプ第1クール最終日に4度目のブルペン入り。捕手が中腰の状態で116球、座らせて12球と、直球のみで今キャンプ最多128球を投げ込んだ。「バランス良く、いい感じになってきた。80球ぐらいだと思った」と笑うほど、調子の良さから予定を大幅にオーバーした。

 その姿を後方から食い入るように複数の目が見つめていた。ドラフト1位・藤平(横浜高)、同2位・池田(創価大)、同4位・菅原(大体大)、同5位・森原(新日鉄住金広畑)の新人4投手だ。投球練習が始まると、森山1軍投手コーチがブルペンを出て、別メニュー中だった4人の元へ走り「岸の投球を見るか?」と見学を誘った。

 糸を引くような岸独特の直球が、同じ軌道で捕手のミットに吸い込まれていく。藤平は与田1軍投手コーチから「岸は繊細だから音を立てるなよ」と言われたため、「真後ろから見たかったけど、動けなかった」と苦笑い。それでも「ワインドアップから、右足を後ろに引いて投げるまで、余分な動作がひとつもない。繰り返しやっているのにズレがない」と驚がくした。池田は「同じフォームで同じところ。僕なら15年かかる。自信をなくした」と肩を落とした。見守った梨田監督は「テンポ、間も含めて全くリズムを崩さないインターバル。“精密機械”のようだ」と絶賛した。

 「手本になったかどうかは分からない」という岸だが、新人4投手にとっては最高の教材。楽天は勝ち星を計算できるエース級の投手だけでなく、若手の「教科書」をも手に入れていた。 (黒野 有仁)

 <球界屈指の制球力>昨季まで西武に在籍した岸の制球力の良さは球界屈指といえる。最も与四球率(9イニングあたりの四球数)が低かったのは13年の1.56で、規定投球回到達者ではリーグ2位。翌14年も2.01で同3位だった。15、16年は規定投球回未満。

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2017年2月6日のニュース