“ドラフト84番目の男”明大・佐野恵4強弾 頂点まであと2勝

[ 2016年11月14日 05:30 ]

明治神宮野球大会第3日・大学の部準々決勝 ( 2016年11月13日    神宮 )

<関大・明大>3回2死三塁、右越えに2ランを放ち、吠える明大・佐野恵

 高校の部、大学の部でそれぞれ準々決勝2試合が行われた。大学の部では、11年以来5年ぶりの優勝を目指す明大(東京六大学)が、関大(関西5連盟第1)に4―1で快勝した。DeNAのドラフト9位・佐野恵太内野手(4年)が右越え2ランを含む2安打2打点と活躍。投げては中日から1位指名された先発・柳裕也投手(4年)とヤクルトの2位・星知弥投手(4年)が粘投し、ドラフト指名トリオの活躍で4強に駒を進めた。

 柳、星だけではない。明大には、この男もいる。打球が舞い上がった瞬間、佐野恵は力強く右手を突き上げた。1―0の3回2死三塁、フルカウントから吉川の甘く入ったシンカーを叩いた。

 打球は一直線に伸びて右翼席で弾んだ。「1打席目の配球を見て、シンカーが来ると思って狙っていた。失投だと思うが、しっかり捉えられた」。明治神宮大会では2年前の徳山大戦以来、自身2本目のアーチに笑みをこぼした。

 ドラフトでは、明大からオリックス育成5位・中道と合わせ、4人が指名された。だが、即戦力として期待される柳と星に比べ、佐野恵の注目度は低い。支配下選手としてはDeNAの最下位指名で、全体でも87人中84番目で名前を呼ばれた。そんな無印スラッガーはノーアーチに終わった今秋リーグ戦を反省していた。「納得できる結果が出なかった。その分、つなごうと思ったら結果がホームランになった」とうなずいた。

 ネット裏で観戦したDeNAの河原隆一スカウトは「見事な一発。長打力があることを再確認できた」と評価。明大の先輩で今季最多勝に輝いた広島・野村祐輔とは中学時代の倉敷ビガーズから広陵と同じ系譜をたどっている。その野村を擁した11年以来の頂点まであと2勝だ。「あと3日間しか明治のユニホームを着られない。笑って終われるように日本一をつかみたい」。佐野恵の言葉にも力がこもっていた。 (原田 真奈子)

 ▼関大・吉川(先発も3回5安打4失点)佐野の2ランで試合の流れを決定づけられた。明大の打者のスイングスピードは今までやってきた中で一番だった。

 ◆佐野 恵太(さの・けいた)1994年(平6)11月28日、岡山県生まれの21歳。広陵では捕手として活躍も甲子園出場なし。明大では2年春からリーグ戦に出場し通算打率.270、6本塁打でベストナイン2度。1メートル78、82キロ。右投げ左打ち。

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