大谷 仰天天井打!小久保監督WBC投手メイン方針も「悩みしかない」

[ 2016年11月14日 05:30 ]

侍ジャパン強化試合 ( 2016年11月13日    東京D )

<オランダ・日本>7回無死、代打・大谷は天井に吸い込まれる二塁打を放ち、天井を見上げながら二塁へ進む

 打球が消えた!侍ジャパンの大谷翔平投手(22=日本ハム)は13日、オランダとの強化試合で7回に代打で登場し、東京ドームの天井の隙間に入り込む「二塁打」を放った。前日の140メートル弾に続く、仰天の一打が口火となり、一挙6得点。試合は延長10回に鈴木誠也外野手(22=広島)の満塁弾で2試合連続のタイブレークを制し、強化試合を3勝1敗で終えた。来年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、大谷の二刀流が世界一奪回の鍵を握る。

 歓声ではない。東京ドームがどよめいた。2―8の7回。先頭打者の代打・大谷は高めの141キロ、それもボール球を強烈にしばいた。爆発的なスピードで飛び出した打球は高々と舞い、そして消えた。右翼上空の天井に付けられたパネルの隙間に入ったのだ。02年の巨人・松井秀喜以来、史上2度目の「認定二塁打」となった。

 「打った瞬間、(柵越えまで)飛距離は十分だと思った。あとは(ポールから外に)切れるかだけだった」

 審判に詰め寄るオランダ守備陣を横目に、大谷は表情を変えることなくダイヤモンドを一周した。「(打球は)見えていた。入ったのがインフィールドだったので、おそらく二塁打だなと思いながら一応、走った」。審判団が協議し「二塁打」が宣告されると、大谷はベンチ前で打撃用手袋を外し、二塁へ。劣勢ムードを変えるには十分すぎる驚がくの一打だった。

 ここから打者一巡の猛攻で一挙6点を挙げて同点。この回2度目の打席では敬遠で歩かされた。前夜も4点ビハインドの5回に推定飛距離140メートルの特大弾を放つと、打線がつながり6点のビッグイニングとなった。小久保監督も「あんな打球見たの生まれて初めて」と驚きを隠せなかった。

 規格外のスイングは、球界の歴史上でもトップクラスだ。強化試合前に大谷と面談した権藤投手コーチは、フリー打撃を見て、目を丸くした。「芯で捉えた時も“ブンッ”と(スイングの)音がするのは、(元近鉄の)ブライアント以来だ」。かつて同じ東京ドームで中堅につるされた天井スピーカーを直撃する推定170メートル弾を放った大砲と並び称された。この日もその伝説に並ぶほどの衝撃を残した。

 3試合に出場し、11打数5安打、打率・455。打撃も国際レベルで十分に通用することを証明した。小久保監督は来年3月のWBCでは「投手メイン」で起用する方針を示していたが「悩みしかない。彼が打線に入ると点が入りそうな雰囲気がある。基本は今のところ投手と考えているが、これから考える」と再考も示唆した。

 事実、オランダ戦2試合で日本を勝利に導いたのは紛れもなく「打者・大谷」だった。来るWBCへ、大谷は言った。「しっかり想定していきたい。起用されたところでしっかり活躍できる準備をしたい」。二刀流・大谷翔平。世界一奪回へのキーマンであることは間違いない。 (柳原 直之)

 ◆侍ジャパン強化試合球場特別ルール(抜粋) (2)打球が、フェア地域内にある天井の穴または隙間に入り込んだ場合、あるいは懸垂物に挟まった場合は、ボールデッドとし、打者、走者ともに2個の安全進塁権が与えられる。

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