【内田雅也の追球】阪神 来季につながる“兆し”を見た4連勝

[ 2016年9月26日 09:50 ]

<中・神>阪神ファンは中日に快勝し大喜び

セ・リーグ 阪神4―1中日

(9月25日 ナゴヤD)
 阪神はこれで4連勝だそうだ。台風による中止や試合がない日がはさまっていたので、ピンとこないが、月曜日から日曜日まで1週間、4戦全勝だったのだと気づく。

 クライマックスシリーズ(CS)進出の望みはとうに消えた終盤での連勝にどれほどの意味があるのかといった、冷めた声もある。しかし、これが意味深いのである。

 プロ野球では、いや少なくとも阪神では、この秋の成績がそのまま来季までつながっていることがよくある。

 たとえば、監督・中村勝広2年目だった1991年がある。2年連続の最下位で、6月には球団史上ワースト記録(当時)の10連敗を喫し、中村が球団に進退伺を提出するなど泥沼のシーズンだった。しかし、シーズン終盤のちょうど今ごろ、9月22日から26日まで5連勝した。しかも、中込伸、湯舟敏郎、野田浩司、猪俣隆、葛西稔とドラフト1位で入団した5人が立て続けの完投勝利で飾ったのだ。

 当時は阪神担当キャップだった。試合後、甲子園球場プレスルームで開かれていた会見で、中村が久しぶりに明るい表情だったのを覚えている。「競争意識が連勝を生んでいる。来季に向け、明るい材料がそろったな」。この投手力が最後まで優勝を争った翌92年の快進撃につながった。

 今回の4連勝も似た傾向がある。岩貞祐太に始まり、藤浪晋太郎、ランディ・メッセンジャー、再び岩貞と、来季先発の柱として期待できる3本柱にすべて勝ち星がついた。先発が踏ん張って試合を形づくり、打線の援護を待つ。確かな勝ちパターンができている。

 これで最下位はなくなった。誰も口にはしないだろうが、最下位は何としても避けたかったと肌で感じていた。

 いや、ここまで来れば、4位になろうではないか。1961、84、2002、04年と、2リーグ制5度の優勝のうち前年4位が4度もある。

 62年優勝監督の藤本定義は<後半に快調のペースで追い上げたことが自信となり、チームのまとまりとなって62年の優勝が実現したのであった>と明かしている=『覇者の謀略』(ベースボール・マガジン社=。05年優勝監督の岡田彰布が「Aクラスだと現状維持も思う。4位こそ変革に動きやすい」と話していた。

 つまり4位の吉兆にも意味がある。変革には消化試合などない。今が大切なのだ。 =敬称略= (スポニチ本紙編集委員)

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