阪神メッセ バッキーに並んだ!5度目10勝「スゴイネ。オジサンデス」

[ 2016年8月13日 05:30 ]

<神・中>8回2死一、三塁、大島を二直に打ち取りガッツポーズのメッセンジャー

セ・リーグ 阪神4―2中日

(8月12日 京セラD)
 阪神のランディ・メッセンジャー投手(35)が12日の中日戦(京セラドーム大阪)で2年ぶり5度目のシーズン10勝に到達した。球団の外国人投手では64~68年まで5年連続で記録したバッキー以来、2人目の快挙。9回に2失点して完封と完投を逃しても、13日の誕生日を自ら前祝いする力投だった。DeNAが敗れ、クライマックスシリーズ(CS)進出圏内の3位との差を4へ縮めた。

 メッセンジャーが猛虎の外国人投手として半世紀ぶりの偉業を成し遂げた。昨季は9勝にとどまり、あと一歩届かなかった10勝目。バッキーに並ぶ通算5度目の2桁勝利に到達した。13日が35歳の誕生日。殊勲のお立ち台では来日7年目ですっかり流ちょうになった日本語で最終9回の降板を虎党にわびた。

 「キュウカイ(9回)ハ、スミマセンネ。(2桁勝利)ハイハイ。スゴイネ。オジサンデス」

 最速153キロを計測した直球を内外角に投げ込み、カーブ、フォークを織り交ぜた緩急で幻惑。7回まではビシエドに許した内野安打2本に封じ、中日打線に二塁ベースすら踏ませなかった。

 「どの球種も、どのコースも、高さもうまく投げ分けることができて良かった。(誕生日の予定は)レンシュー(練習)ダ。家族は何かするかもしれないけど、今のところ予定はないね。この年でプロとして18年やれている。ケアをしっかりできている」

 胸には今季初完封を逃し、完投もできなかった悔しさが残った。9回1死から安打と四球で一、二塁とし、ナニータに適時二塁打を浴びてマテオの救援を仰いだ。香田投手コーチから言葉を掛けられる前に怒りを押し殺すようにうつむいて自らマウンドを降りた。

 「あのペースで行けばね。自分で終わらせないと行けなかった。8回、9回は時間がかかりすぎた。余裕を持って完封できたはず。悔しいよ」

 8回1/32失点、8奪三振の力投。奪三振数140は巨人・菅野を抜いてリーグトップに立った。「個人的にうれしいけど、あくまでチームスポーツだから。チーム全体で優勝に向かうのがゴールだ」。チームを思うエース格の自負心があるから獲得すれば2年ぶり3度目の奪三振王にも大した関心は示さない。

 金本監督は「序盤からずっと球も走っていて8回まではほぼ完璧。最後、ちょっと投げ急いだのか。バタバタしたけどね」と称え、8月第2週での10勝到達に「これくらいは開幕当初から期待していた」とうなずいた。くしくも触れた“開幕”。2年連続3度目の開幕投手を務めた3月25日は同じ京セラドーム大阪で同じ中日に6回2/34失点で敗れた。春の雪辱を果たし、残り34試合の逆襲へ目を向けた。 (湯澤 涼)

 ▼阪神・香田投手コーチ ブルペンから調子が良かったので楽しみにしていた。8回まで素晴らしいピッチングをしてくれた。移動ゲームでしっかり投げてくれて、ブルペンのことを考えるとマテオだけでいけた。助かったよ。さすがだね。

 ▽バッキーとは 米ルイジアナ州出身、阪神の外国人投手第1号(ハワイ出身の日系人選手を除く)。阪神では62~68年の7年間プレーし通算100勝。入団当初は制球難だったが、藤本定義監督の指導とナックルボールの習得で開花。3年目の64年に29勝、防御率1・89でリーグVに貢献。最多勝と防御率1位の2冠に外国人投手初の沢村賞を受賞した。なお誕生日はメッセと1日違いの1937年8月12日。

 ≪48年ぶり≫メッセンジャー(神)が今季10勝目で、2年ぶり5度目の2桁勝利。阪神の外国人投手で5度の2桁勝利は、バッキーが64~68年にかけて5年連続で5度記録して以来の2人目で、プロ野球の歴代外国人投手では郭泰源の6度に次ぐ2位タイ。また通算71勝目は、荘勝雄を抜いて外国人投手単独6位になった。

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