原口 交流戦最下位阻止弾!捕手だけど一塁起用の金本監督も「びっくり」

[ 2016年6月21日 05:30 ]

<神・オ>8回、6号決勝2ランを放った原口は笑顔でナインとハイタッチ

交流戦 阪神2―0オリックス

(6月20日 甲子園)
 シンデレラボーイが窮地を救った!阪神の原口文仁捕手(24)が20日、交流戦最終戦となったオリックス戦で、0―0の8回に決勝の6号2ラン。初めて「3番・一塁」で起用されたが、チーム15試合ぶりの本塁打が値千金の一発となり、球団初の交流戦最下位の危機を免れた。この日、マツダオールスターゲーム2016のファン投票最終中間発表が行われ、原口は捕手部門1位をキープ。育成出身捕手としては史上初の球宴出場が現実味を帯びてきた。

 甲子園の夜空に虎党が待ち望んでいた放物線が描かれた。0―0の8回1死一塁。カウント2ボール2ストライクから佐藤達の外角低めスライダーに反応すると、高々と上がった打球は左翼ポール際に吸い込まれた。決勝2ランは、チーム15試合ぶりの本塁打だった。

 「追い込まれてからはコンパクトにいきました。入るかどうか微妙でしたけど、皆さんの応援と風のおかげで入った。必死のパッチで打ちました」

 本職は捕手だが、ゴメスの不振と打力を買われ、初めて「3番・一塁」で起用された。1、2打席目は先発・西の変化球にタイミングが合わず連続空振り三振。しかし、6回の第3打席で無死一塁から初球スライダーを一塁線に転がし、バントを成功させた。「バントだったけど、良い流れで決められたので、4打席目につながったかなと」。この気持ちの切り替えが値千金の一発を生んだ。

 「(監督の)打ってほしいという思いは伝わっていた。とにかく打つ方で何とかしたかった」。打撃だけでなく、昨季2軍で10試合経験があるだけの一塁の守備でも無失策で8回まで守った。

 この日はオールスターゲーム(7月15日・ヤフオクドーム、同16日・横浜)のファン投票最終中間発表が行われた。4月27日に育成選手から支配下登録された原口はノミネート選手ではないにもかかわらず、今月6日に捕手部門の1位に躍り出ると、そのままキープ。規定打席には足りないが、打率・344の好成績を残しており、球宴出場が現実味を帯びてきた。育成出身の捕手では、史上初の快挙となる。

 4月下旬から1軍でフル稼働。「ファームとは正直、一戦ごとの疲れが違う。(自室で)気付いたら寝落ちしてたことなんて、しょっちゅう」と本音をこぼす。それでも、その疲労が心地よい。「充実感が違いますよ」。夢に見た晴れ舞台が今や日常に変わった。

 「びっくりするぐらい、一番最高の結果を出してくれた」と金本監督も目尻を下げた。敗れれば球団初の交流戦最下位の屈辱だったが、4位に浮上。24日からのリーグ戦再開へ、いい流れをつくった。「試合の時は(それぞれに)役割があるので。勝ちたいという思いでやっている」と原口。マスクはかぶらずとも、勝利をもたらした喜びは格別の味がする。 (久林 幸平)

 ≪支配下再昇格後に初出場すれば初≫阪神は育成出身の原口が決勝弾を放ち、3日西武戦から続いていたチームの連続試合無本塁打が14でストップ。この日不発なら12年の15試合に並ぶ2リーグ制後の球団ワーストとなっていただけに貴重な一発になった。殊勲の原口は球宴投票最終中間発表でセ捕手部門の1位。育成から昇格し球宴初出場を果たすと13年の西野(ロ)、千賀(ソ)以来5人目になるが、過去4人は育成ドラフト出身。支配下再昇格後に初出場すれば初になる。

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