【キヨシスタイル】広島・誠也が「週ベ」表紙を飾る日も遠くない

[ 2016年6月21日 11:30 ]

19日のオリックス戦で8回無死、広島・鈴木は左越えに勝ち越しソロを放つ

 ニューヒーローが表紙になる日は――。17日、都内のホテルで開かれた「ベースボール・マガジン社創立70周年記念パーティー」に出席させてもらった。王貞治さん(ソフトバンク球団会長)のあいさつを聞いて駆け出し時代を思い出したね。

 「34年(1959)巨人に入団して最初は全然載せてもらえませんでした。37年にホームランがちょっと打てるようになってからやっと…」

 世界の王さんですらそうだったんだ。野球選手にとって週刊ベースボール(週ベ)の表紙になるのはステータス。駒大から巨人に入って3年間2軍で過ごした私が初めて表紙を飾ったのは79年7月23日号だった。やっと三塁のレギュラーの座をつかんだ4年目。うれしくて田舎に送ったよ。

 翌年の80年にはベースボール・アルバムも作ってもらった。写真を中心にインタビュー記事や関係者のコメントが満載された、まるごと中畑清の一冊。「巨人のスター選手になれたんだな」と初めて実感した。

 週ベの表紙は時代、そのシーズンを映す鏡。今年は赤色が増えてきそうな気がするね。広島が交流戦を6連勝で締め、11勝6敗1分け。セ・リーグで唯一勝ち越しの独り勝ちだ。2位との差を交流戦前の2・5ゲームから6ゲームに広げ、独走気配を漂わせている。

 とにかく勢いがある。極めつきが最終のオリックス3連戦。凄い若手が飛び出した。鈴木誠也。史上10人目となる2試合連続サヨナラホームランに続き、最終戦では8回に決勝アーチをかけた。3試合連続V弾。入団4年目、弱冠21歳のニューヒーロー誕生だ。

 ちょっと待てよ。王さんが一本足打法にして初のホームランキングに輝いたのが4年目。私がレギュラーになったのも、鈴木誠也がブレークしているのも…。リーグ4位の打率・315、10本塁打、39打点。この活躍を続ければ週ベの表紙を飾る日もそう遠くはない。

 日米通算200勝まであと2勝に迫っている黒田、4月に通算2000安打を達成した新井。広島はベテラン2人を中心としながら若手が着実に力をつけてきている。最高のバランス、勢い。黒田が200勝を単なる通過点として最後まで柱として君臨すれば、25年ぶりの赤ヘル優勝記念号はグッと現実に近づく。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2016年6月21日のニュース