“持ってない”福留 2000安打持ち越し…あと2から敬遠、四球 

[ 2016年6月21日 06:30 ]

<神・オ>6回1死二塁、福留は敬遠される

交流戦 阪神2―0オリックス

(6月20日 甲子園)
 阪神・福留は「公約」を果たせなかった。いや、果たす機会を奪われた。6回1死二塁で迎えた第3打席。オリックスの敬遠策に甲子園球場は大ブーイングに包まれた。原口の先制弾の余韻残る8回もストレートの四球で打てる球が来なかった。

 雨天中止で組み込まれた月曜日のナイター。偉業への期待を胸に本拠地へ足を運んだ虎党を裏切らなかったことも事実だ。2打数2安打2四球。残り4本だった日米通算2000安打には届かなくても日本通算1500安打という、もう一つの節目に到達した。

 「1試合残っていたんで(4本)打てれば良かったけど、僕のことよりチームが勝てて良かった。1本、1本で喜んでくれるのは嬉しいし、ありがたい。そういうことも考えたら決めたかったけど『持っていない』ということです、僕が」

 大台まで残り10本で迎えた本拠地6連戦前に「甲子園で決めたい」と宣言していた。1試合4安打という至難の業に第1打席から抜群の集中力で果敢に挑んだ。2回は右中間二塁打、4回1死一塁では右前打。2安打目は史上121人目の国内通算1500安打となり、記念の花束を受け取った。「特に何もない」と無関心なのは目指す場所がはるかに上にあるからだ。野球を愛し、愛された天才には通過点でしかない。

 小学3年でソフトボールを始めた直後、一度だけ両親に野球道具を取り上げられたことがあった。夢中になりすぎて学校の成績が下がり、父・景文さんに「もう練習に行かなくていい」と言われた。

 「何をしたらいいのか全くわからなくなった。こっそり練習を見に行ったり、ぶらぶらしていたら知らない間に夜7時ごろになって。帰ったら、門の前に(心配した)親父とお袋とばあちゃんが待っていて、『明日から練習に行ってくれ』と言われた」

 子供の頃から野球抜きの生活は考えられなかった。超一流のプロとなった今も同じで「結局野球が好きなんだよね」と笑った。偉業まで残り2本としてリーグ戦は24日に再開。Xデーは目前だ。 (山添 晴治)

 ▽福留(阪神)通算1500安打 20日のオリックス3回戦(甲子園)の4回に西から右前打を放って達成。プロ野球121人目。初安打は中日時代の99年4月4日の広島戦で紀藤から。

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2016年6月21日のニュース