マエケン 男気でサヨナラ呼んだ!右すね痛も強行先発、激走見せた

[ 2016年6月21日 05:30 ]

<ドジャース・ブルワーズ>3回、後続の安打で一塁から激走を見せた前田は惜しくも三塁タッチアウト(AP)

ナ・リーグ ドジャース2―1ブルワーズ

(6月19日 ロサンゼルス)
 ドジャースの前田健太投手(28)が19日(日本時間20日)、ブルワーズ戦で6回1/3を1失点、8奪三振と好投した。前回登板で右すねに打球が直撃。自身初の「中3・5日」と回復時間がない中で自己最多タイの107球を投げ、走者としても激走を見せた。自身に白星は付かなかったが、男気あふれる姿でチームのサヨナラ勝ちを呼んだ。

 前田が歯を食いしばった。14日(日本時間15日)のダイヤモンドバックス戦でゴールドシュミットの95マイル(約153キロ)の打球が直撃した右すねは痛む。この日はデーゲームで、前回登板のナイターから初体験の実質「中3・5日」で登板。さらに気温は今季本拠で最高の37度を記録した。三重苦を、「行けると言った限りは責任を持って投げないといけない。打たれたら、無理して行った意味が全然ない」と強い心で乗り越えた。

 この登板間は力を入れたキャッチボールができないなど練習不足は明らかだった。「投げたいところになかなか決まらなくて球数がかさんだ」。初回に先制ソロを被弾。2回も2四球を与えるなど、持ち味の制球力が影を潜めた。だが、2回終了後にリック・ハニーカット投手コーチから投げ急ぎを指摘され、微調整。2回以降は得点を許さず、試合をつくった。

 攻撃では激走だ。3回に敵失で出塁。次打者アットリーの左中間への大飛球が好捕されると、二塁ベースを蹴っていた前田は急いで帰塁し、最後は痛む右すねでスライディングした。続くシーガーの右前打では一気に三塁を狙って再びスライディング(結果はアウト)。「衝撃があって痛かった。今季一度も(スライディングする機会が)なかったのに、こういう時に限って2回も…」と苦笑いしたが、この闘志が同僚の心に火を付けた。8回に同点に追いつくと、9回はグランダルが押し出し四球を選んでサヨナラ勝ちを収めた。

 今回の打撲は通常は完治まで約10日かかるが、登板に合わせるため、テーピング療法ではなく、皮下組織にたまった体液を健康なリンパ管に移動させる排液マッサージ療法を施した。強行先発でチームを救った右腕を、デーブ・ロバーツ監督は「気持ちの強さを見せてくれた。100%でないときでも戦ってくれた」と称賛した。「結果的にチームが勝っていい日になった」と笑った前田。6・5ゲーム差をつけられた首位ジャイアンツを追う起爆剤となる。(ロサンゼルス・奥田 秀樹通信員)

 ≪中4日の課題克服≫前田は今季14試合目の登板。中4日で臨んだのはこの日が6試合目だった。中5日(6試合)が4勝0敗、防御率1・85、中6日以上(2試合)が1勝0敗、防御率1・50と安定感抜群だったのに対し、中4日で臨んだ過去5試合は1勝4敗、防御率4・30。今回は課題を克服した。

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