ダル “高さ半分”マウンド上から投げた!354日ぶり「違和感なく…」

[ 2016年2月24日 05:30 ]

レンジャーズのダルビッシュ(AP)

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(29)が22日(日本時間23日)、昨年3月の右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)後初めて、傾斜の付いたマウンドで投げた。高さ、傾斜ともに半分程度のリハビリ用の「ハーフマウンド」から捕手を座らせて17球。順調な回復を見せているが、レ軍のエースは復帰へのペースを早めることなく、万全を期して予定通りに5月中旬~6月初旬の復帰を目指す。

 スピンの利いた球が捕手ジメネスのミットを叩いた。ダルビッシュはゆったりしたフォームから徐々に腕を振る速度を上げる。フォーシーム、ツーシームなど速球系を15球続け、最後はチェンジアップを2球。投球後、自然と笑みがこぼれた。

 「平地でやっていた自分のフォームをしっかり出せるようにと考えた。何も違和感なく、気持ちよく投げられた」。傾斜の付いたマウンドで投げるのは昨年3月5日のオープン戦以来354日ぶり。右肘のトミー・ジョン手術以来初めてだ。

 1年間のリハビリでは筋力トレーニングなどでパワーアップし、体重は過去最高の約107キロ。シーズンでコンビを組むことが多いジメネスは「軽く投げていてもボールは重いし、よく回転していた。50%の力でも84~85マイル(約135~137キロ)は出ているかな」と驚く。投げたのは6インチ(約15・24センチ)と、通常の高さ(10インチ=約25・4センチ)の約半分の「ハーフマウンド」。平地よりも体への負担が増す状態でダルビッシュは肘に感じた負担について「全く変わらなかった、きょうは」と安どの表情を浮かべた。

 ジェフ・バニスター監督とともに投球を見守った現役通算52勝のダグ・ブロケール投手コーチは「回復が早い。復帰途上でも健康な時の私よりいい」と目を細める。それでも今後については「スケジュール通りに行く。ユウに急がされていると感じてほしくない」と、5月中旬~6月初旬の復帰プランは前倒ししないことを明言した。自身の苦い経験があるからだ。

 ブロケール・コーチは現役時代に2度のトミー・ジョン手術を受けた。1度目の手術後に復帰を急いで痛みが再発。2度目の手術後は「1年間ボールを握らなかった」という。結局メジャーに戻るまで4年近くを要した。ダルビッシュも状態を見ればペースアップは可能だが、エースとして最高の状態で戻れるように十分な時間を設ける。

 ダルビッシュは報道陣から「新しいじん帯との信頼関係は?」と聞かれると「キャッチボールから慣れてきているので信頼はできています。こっちの(新しい)方がいいと思います」と笑顔。引き揚げる際には3月初旬から投げる予定の通常のマウンドにも立った。「20年ぐらい立っているので、いまさら新鮮な感じはなかった」。2年連続の地区優勝を目指すレンジャーズの柱として。じっくり段階を踏み、本来立つべき場所に戻ってくる。 (サプライズ・奥田 秀樹通信員) 

 ▽ハーフマウンド 近年、大リーグのキャンプ地やリハビリ施設は通常のマウンド以外に、半分程度の高さのハーフマウンドと、傾斜のない平たんなマウンドを設置。故障や手術明けの投手が徐々に傾斜の強度を高めて投げる。オリオールズ時代の12年5月にトミー・ジョン手術を受けた和田(現ソフトバンク)は13年2月、高さ5インチ(約12.7センチ)のハーフマウンドでブルペン投球を再開した。

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