亜大・花城 日本一締め!難病「黄色じん帯骨化症」で左脚しびれも執念

[ 2015年11月19日 05:30 ]

<早大・亜大>力投を見せる亜大・花城

明治神宮野球大会最終日・大学の部決勝 亜大2―1早大

(11月18日 神宮)
 大学の部の決勝が行われ、亜大が早大を延長14回の末に2―1で下し、2年ぶりの優勝を果たした。優勝5度は明大、駒大に並び最多で東都勢が3連覇した。7回から救援したエース石塚賢次投手や花城直投手(いずれも4年)らが好投。4投手の継投で接戦を制した。早大は再三の好機で勝ち越せず、東京六大学史上初の4冠は果たせなかった。

 延長14回。最後の打者をこん身の141キロ直球で空振り三振に仕留めると、花城は雄叫びを上げ両拳を突き上げた。「みんながつないでくれたので絶対に抑えようと思った。最高です」。目にはうっすら涙が浮かんだ。

 1―1の延長13回1死二、三塁から4番手で登板。茂木に四球を出して満塁とし、4回に2戦連続アーチを放った4番丸子を迎えた。臆せず腕を振り、追い込んでからの4球目。「後悔しない球を」とスプリットで一ゴロ併殺で絶体絶命のピンチをしのいだ。

 先発の一角として期待されていた昨年4月。足のしびれなど原因不明の体調不良が続いた。国指定の難病「黄色じん帯骨化症」と判明し、5月に手術。1カ月入院し、最速148キロの直球は135キロまで落ちた。つらいリハビリを乗り越えて昨年10月の秋季リーグ戦最終戦で復帰したが、体調を考慮され、救援で短いイニングを担った。生田勉監督から「最後は必ず花城。打たれても納得いく」と今年クローザーに指名され、失点が許されない場面で勝負球として磨き上げたのがスプリットだった。今も練習をセーブする日があり、この日も左太腿はしびれていたが「自分がいくしかない」とイニングをまたぎ、執念の無失点救援を見せた。

 かつての九里(広島)、東浜(ソフトバンク)、山崎康(DeNA)のような絶対的エースはいない。今秋リーグ戦での完投もわずか1だったが、花城の闘病を励まし続けたエース石塚や諏訪、川本らが「花城につなぐ」を合言葉に投げた結果が日本一に結びついた。卒業後は社会人で野球を続ける花城は「一人一人が自分の仕事を全うした。日本一のチームです」と喜びをかみしめた。その顔は今年のチームスローガン「顔晴る(がんばる)」のごとく晴れやかだった。 (松井 いつき)

 ▼亜大・板山(阪神ドラフト6位。無安打に終わり)日本一を勝ち取れましたが、自分はチャンスで打てず、チームメートに助けてもらった。

 ▽黄色じん帯骨化症 脊髄の後ろにある椎弓と呼ばれる部分を上下につなぐ黄色じん帯が骨化して、脊柱管内の脊髄を圧迫する病気。初期症状として主に下肢の脱力やしびれがみられる。悪化すると両下肢まひを来すこともある。ソフトバンク・大隣が13年6月、楽天・星野仙一球団副会長も監督時代の14年6月に手術を受けた。

続きを表示

この記事のフォト

2015年11月19日のニュース