石田プロ1勝 キヨシ“一変”「あんな良い投手いない」

[ 2015年8月7日 06:17 ]

<中・D>プロ初勝利を挙げウイニングボールを手に中畑監督(右)と笑顔の石田

セ・リーグ DeNA2-1中日

(8月6日 ナゴヤD)
 DeNAのドラフト2位ルーキー・石田健大投手(22)が、4試合目の登板で念願の初白星をつかんだ。6日の中日戦に先発し、8回を3安打1失点。リーグトップ9勝の相手エース・大野に投げ勝ち、チームを4位に押し上げた。広島出身。8月6日の「原爆の日」には特別な思いを持つ。平和への祈りをささげて臨んだ一戦での快投で、先発左腕が不足するチームに光をともした。

 マウンドで表情一つ変えなかった左腕が中畑監督に肩を抱きかかえられると、満面の笑みを浮かべた。プロ最多124球を熱投してつかみ取ったプロ初勝利に、石田は「新人らしく腕を振って投げようと思った。そんなに良い球はなかったが、何とか気持ちで抑えた」と声を弾ませた。

 直球は常時130キロ台後半だが、110キロ台のカーブを効果的に交えて果敢に攻めた。28打者に対して7度フルカウントになったが、うち6度の最終結果は三振。2回の赤坂、3回の桂は外角高めの明らかなボール球ながら空振りさせ、8回は荒木に内角低めの直球に手を出させなかった。

 法大2年時の大学日本代表合宿で、九州共立大にいた現広島の大瀬良に「後ろを小さくした方が良い」と助言を受けてから、テークバックが小さい投球フォームに改造した。手元で伸びる球質は同じ左腕のカブス・和田をほうふつさせる。9奪三振は球速以上に手元で伸びている証だった。

 特別な日に勝った。広島出身。物心ついた頃から、原爆投下の8月6日午前8時15分に手を合わせて黙とうする。今年も宿舎で手を合わせて祈った。父・斉(ひとし)さん(53)、母・薫さん(48)がナゴヤドームで観戦。広島市内に住む両親は、初勝利を見届けようと横浜、横浜、京セラドームと過去の登板3試合も全て遠くから駆けつけていただけに、「勝たないと両親が大変だと思ったので良かった」と笑った。

 今季、チームの左投手はここまで砂田の1勝だけ。コマ不足の先発左腕として期待は大きい。昨年10月に東京六大学リーグの登板を視察し、石田の投球内容より頻繁に髪を触るしぐさに「髪形を気にしているようじゃ駄目」と雷を落とした中畑監督も「石田に尽きる。あんな良い投手はいない」とべた褒めした。

 大学4年で左肩痛を発症し、ドラフト2位でプロ入団後もファーム暮らし。守護神に成り上がったドラフト1位・山崎康との継投で勝つことを目標に汗を流してきた。「きょうみたいな投球ができるように頑張りたい」。借金5からの逆襲。石田の左腕にかかる期待は大きい。 (平尾 類)

 ◆石田 健大(いしだ・けんた)1993年(平5)3月1日、広島市生まれの22歳。大河(おおこう)小2年でソフトボールを始める。仁保(にほ)中では軟式野球部に所属。広島工では2年秋から主戦。3年春の中国大会で22年ぶりに優勝も、甲子園出場はなし。法大に進み、2年時の東京六大学秋季リーグ戦で3勝を挙げて優勝に貢献。リーグ戦通算19勝16敗、防御率2・85。14年ドラフト2位でDeNAに入団。背番号14。1メートル80、83キロ、左投げ左打ち。

 ≪チーム9年ぶり≫ルーキーの石田(D)が8回1失点でプロ初勝利。DeNAの新人白星は、今季の山崎康(2勝)以来だが、左腕では横浜時代の11年大原(4勝)以来だ。また、大原の勝利は全て中継ぎでマークしたもの。チームの新人左腕が先発勝利を挙げるのは06年5月23日のソフトバンク戦で高宮(現阪神)が勝って以来チーム9年ぶりとなった。

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