大谷、自己ワーストタイ7失点KO…7回の一挙5失点悔やむ

[ 2015年8月5日 05:30 ]

<ソ・日>7回途中、7失点で降板した大谷

パ・リーグ 日本ハム2―7ソフトバンク

(8月4日 ヤフオクD)
 悪夢の7失点。大谷がソフトバンク打戦にやられた。日本ハム・大谷翔平投手(20)は4日、ヤフオクドームでソフトバンク13回戦に先発。2―2の7回に、バントシフトの逆を突かれるバスターを決められ、9安打7失点で途中降板した。大谷の7失点はプロ入りワーストタイだ。首位・ソフトバンクとは今季最大の9・5ゲーム差まで開き、5日も連敗か引き分けでもマジックを点灯させてしまう崖っ縁に追い込まれた。

 マウンドで大谷は危険を察知していた。同点の7回無死一、二塁。7番・中村晃を迎え、内野守備はバントシフトを敷いていた。一塁手・中田と三塁手・レアードが本塁方向へ猛ダッシュしプレッシャーをかけた。

 大谷が初球に直球を投げ込むと、中村はファウルにするのがやっとだった。そして2球目。「バスターで守備を崩しに来ると思ったので、変化球を投げた」と内角低めのボールゾーンにスライダーを投じた。

 並の打者ならば、バットに当てることのできないコースだったが、バットコントロールが抜群で打率・302を残している中村晃だったことが不運だった。打球は前進した中田の横を抜け、無死満塁。バントに備えた守備陣と、バスターを警戒していた大谷とのわずかな感覚の差が、ソフトバンク打線に付け入る隙を与えてしまった。

 相手の勢いは、これでもう止められなかった。今宮に左前適時打、明石にも左前打でつながれると、高田には右前適時打を浴びた。「あの回だけ。しっかりといければよかったけれど…」。この回の大谷は1死しか取れずに5失点。終わってみれば自己ワーストタイとなる6回1/3を9安打7失点で、6月6日の阪神戦(甲子園)以来となる今季2敗目を喫した。

 首位を叩くため、大谷は7月24日の西武戦(西武プリンス)から中10日と登板間隔を空けてまで必勝を喫したマウンドだった。しかし、そんな重圧が立ち上がりの投球に表れていた。普段ならば直球で押しまくるが、最速159キロの直球に変化球も交えて慎重に組み立てた。自己最多となる12勝目に向かって、4回まで9奪三振と快調に見えたが、逆に5回以降は手詰まりとなった。7回に浴びた5安打は全て変化球だった。

 大事なソフトバンクとの直接対決の初戦を落とし、これで今季最大9・5ゲーム差。きょう5日の試合は敗れるだけでなく、引き分けでもライバルに優勝マジックが点灯する。栗山監督は「翔平は何とかしようとして投げていた。チャンスはまだある。この悔しさを受け止めるしかない」と前を向いた。大谷も奇跡を信じて戦い続ける。「気持ちを切り替えるしかない」。そう言うと、前を向いてバスに乗り込んだ。 (横市 勇)

 ▽大谷の自己ワースト7失点 この日と同じ11勝で迎えた昨年9月21日の楽天戦(コボスタ宮城)で、5回1/3を5安打7失点でKOされた。初回に4点の援護をもらいながら、その裏に島内の先頭打者アーチを被弾。2回には松井稼に同点3ランを浴びた。3回にも2失点するなど、4四死球と制球を乱して6回途中で降板。試合は日本ハムが逆転勝ちしたが、大谷は「申し訳ない気持ちでいっぱい。最後までリズムに乗れなかった」と猛省の試合だった。

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