巨人のエースナンバーが背負う重圧 杉内復活へ期す思い

[ 2015年8月5日 12:59 ]

7月23日に出場選手登録を抹消された杉内

 久しぶりの感触を味わうように、一球一球、丁寧に投げていた。2軍調整中の巨人・杉内。4日に離脱後初めてのキャッチボールをジャイアンツ球場で行った。2軍の練習を邪魔しないよう、外野の隅っこで行っているのが印象的だった。

 「何もないよ。やれることをやっていくだけ」。笑顔は見せたが、素っ気ない一言で終えた。

 出場選手登録を抹消されたのは7月23日。降格翌日は足をかばい、引きずるように歩いていた。コンディション不良とされるが、股関節の痛みによるものとみられる。蓄積疲労が限界を迎えたのだろう。原監督も「そこはもう、杉内に聞くしかない。なるべく早く帰ってきてほしい」と話したように、復帰にはしばらく時間がかかりそうだ。

 12年に国内FA権を行使してソフトバンクから巨人に移籍した。同時に背番号「18」を身にまとった。「光栄」と何度も表現し「次の人が背負うときに、もっと重い番号として渡せるように頑張りたい」と言った。昨年まで3年連続2桁勝利をマーク。今年で35歳。全盛期のような切れのある直球と宝刀のチェンジアップで三振の山を築くとまではいかないが、老練な投球術で、昨季はチームで唯一、先発ローテーションを守り抜いた。

 移籍1年目を終えた杉内に、巨人のエースナンバーを背負う重圧について聞いたことがある。

 「グラウンドにいて当たり前。投げていて当たり前。勝って当たり前。現実はなかなか難しいけど、自分の中では常にそういうイメージを持ってやっている」

 普段は淡々と、最低限のコメントだけに終始する男が、このときばかりは熱っぽく語っていた。

 8月。いよいよ優勝に向けてシーズンも佳境に入ってきた。ましてや今年は近年まれにみる混セだ。エース・菅野を中心とした投手陣の活躍は知られるところ。そんな中、輪の中心にいなくてはならない背番号「18」は、戦いの場から外れている。

 「やれることをやっていくだけ」――。その言葉の先に復活があると信じて待ちたい。(川手 達矢)

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2015年8月5日のニュース