若松 天国の恩師に贈るプロ初勝利「早くウイニングボールを渡したくて…」

[ 2015年6月2日 22:10 ]

<中・西>プロ初勝利を挙げ藤井(左)とウイニングボールを手に笑顔の若松

交流戦 中日2―0西武

(6月2日 ナゴヤD)
 プロ入り3年目でうれしいプロ初勝利を挙げた中日の若松駿太投手(20)は、お立ち台で「今、もう、この世にはいないんですけど、ドラゴンズに入らせていただいたスカウトの渡辺さんに早くウイニングボールを渡したくてやってきたんですかど、しっかり投げれて良かったです」とひと言、ひと言かみしめるように語った。

 若松は福岡の祐誠高校出身。甲子園出場はなく全国的に無名の選手だったが、中日の九州担当を務めていた渡辺麿史スカウトが2年の時から追い続け、ドラフト7位で指名された。その渡辺スカウトは、昨年の2月に急性白血病で57歳で亡くなっただけに、ようやく恩師に捧げる1勝となり「ありがとうと言う言葉しかない。これから、もっと感謝の気持ちをもってやっていきたい」と語った。

 期待されて迎えた昨年は7試合に登板、2試合に先発しながら結果を残せず。今季も4月26日のDeNA戦で早々と援護をもらいながら試合を作れず2軍に降格した。そして再昇格した5月27日のソフトバンク戦で、早々にKOされた八木の後を受け2回途中からロングリリーフで好投したことで、再び先発の座を勝ち取った。

 この日は1回こそ3者凡退に封じたが、その後は毎回走者を背負う展開。しかし、2回、5回の満塁のピンチも、強気の勝負で無失点で切り抜け、6回130球を投げ3安打無失点、8奪三振。それでも「ランナー出してばかりで迷惑をかけていたんですけど、いつか野手の方が取ってくれると思って、粘って投げることができました。連敗を止めたいとは思っていたんですが、まさか勝とは思いませんでした」と語り、お立ち台の感想を聞かれると「最高です」と目をしばたたかせた。

 谷繁監督も「6回130球で6四死球かな…何とかよくゼロで抑えてくれた。粘り強く、ランナー出してからも投げていた。こういういい投球をしながら、なかなか勝つということができなかったので、これをきっかけにしてほしいですね」と顔をほころばせていた。

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