4番獲れる!大田アピール3安打 松井氏の「好球必打」継承

[ 2015年2月14日 05:30 ]

紅白戦2回2死一塁、中前打を放つ大田

巨人紅白戦 紅組21―3白組

(2月13日 サンマリン宮崎)
 連日の猛アピールだ。巨人・大田泰示外野手(24)が13日、今キャンプ2度目の紅白戦で「紅組4番」で出場し、第1打席で左翼フェンス直撃の安打を放つなど、3安打1打点。前日の紅白戦と合わせて7打数4安打2打点となった。今季は「新成」をチームスローガンに掲げ、ニュージャイアンツをつくり上げることを目指す原辰徳監督(56)。7年目を迎えた未完の大器の「開幕4番」も決して夢物語とはいえない。 

 この日一番、悔しがった場面だった。4回2死一、二塁。初球の外角スライダーを見逃してストライク。大田は思わず天を仰いだ。「打ちにいく中で肩が開いて視界から消えた」。両軍合わせて33安打24得点と荒れに荒れた試合でも、1球を大切にする姿勢はぶれない。「集中力を持って、やりたいことが形に表れている」とスラッガーとして、求めているものの高さをうかがわせた。

 好球必打――。2回の第1打席は、松本竜の高め直球を叩いて左翼フェンス直撃の安打。「しっかりボールに入っていけている。ボールに対して内側からバットが出ているのがいい結果につながっている」。打者一巡した第2打席では内角球を中前へ。5回の三塁内野安打も含め、3安打は全て第1ストライクから打っていった打席から生まれた。

 一昨年まで背番号55を譲り受けていた巨人OBの松井秀喜氏のキーワードも好球必打。メジャーを生き抜く中で「(打席の中で)打つべき球を打たなければいけない」と言い続けてきた。大田は昨春キャンプで松井氏から直接指導を受け、昨季終盤に81代目の4番も務めた。松井氏も昨年は自宅のあるニューヨークで「大田君が頑張っているね」と試合結果を楽しみにチェックし、今キャンプ訪問の際にも激励を忘れなかった。

 練習を積み重ね、大田は技術の向上とともに「心」の充実を口にする。「雑念が消えた。余計なことを考えないことが大事」。これまでは打撃の形を気にするあまり、結果が出なかった。今は「バットに当てることが大事」と割り切ることで、打席に集中できている。先週末に自宅のある広島からキャンプ地の宮崎を訪問した父・幹裕さん(56)も「年々、自覚が出ているというか、しっかりしてきていると思います」と話した。

 原巨人の今季のスローガンは「新成」。だからこそ、指揮官はリーグ3連覇中のチームを「一度解体する」と言い続ける。その象徴が阿部の一塁コンバートであり、沢村の救援転向。さらにその先にあるのが、近未来の「4番・大田」だ。理想とするジグザグ打線の4番は右打者との考えも、大田をイメージしてのことだ。

 阿部、村田ら乗り越えるべき壁は果てしなく高い。それでも、完全開花を予感させるこの打棒があれば、越えることは可能。近未来といわず、今季の開幕4番も夢ではない。「とにかくスタメンを増やすことが第一。その先で4番、クリーンアップを打てるようにやっている」。大田は自らに言い聞かせるように言った。

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